エイデン

ソー:ラブ&サンダーのエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

故郷を失った男ゴアは、愛する娘と共に砂漠を彷徨っていた
食糧や水も底をつき、やがて飢えと乾きに苦しみながら娘は命を落としてしまう
悲しみに打ちひしがれながら娘を埋葬し、ゴアも瞼を閉じるが、そこで何者かの声を耳にする
その声に導かれるように、ゴアは砂漠の中に現れたオアシスへと辿り着く
そこでゴアは一族が信奉する神ラプーと出会うが、彼は娘や死んだ一族の死後の幸せを約束するどころか、他に信奉者を探せば良いと傲慢な態度を取る
すると怒りに燃えたゴアの声に、神を殺すことができる呪われた剣“ネクロソード”が応え、その力でゴアはラプーを殺害
身勝手で救える命も救わない神の存在に失望したゴアは、この世界全ての神を殺すことを誓うのだった
一方 雷神ソー・オーディンソンは、父や母、弟、そして故郷“アスガルド”を失いながらも、“ガーディアンズ ・オブ・ギャラクシー”の面々と共に宇宙の平和を守るために旅立つ
新たな戦いの日々を送っていたソーは、宇宙各地で神々が殺されているという謎の事件の存在を知る
その影響で各地が混乱する中、アスガルドのシフからの救援要請を発見したソーは、戦友コーグと共にガーディアンズを離れ、彼女を助けに向かうことに
現地でも神や人々が犠牲となっており、ソーはその中で重傷を負ったシフを救出
シフは神殺し(“ゴッド・ブッチャー”)ゴアと呼ばれる存在の仕業であることと、彼の次の標的が生き残ったアスガルドの民が地球に建国した“新アスガルド”であると警告する
その頃 ソーの元恋人である天体物理学者ジェーン・フォスター博士は、ステージ4の末期ガンを患い闘病生活を送っていた
友人兼同僚のダーシー・ルイス、エリック・セルヴィグ博士に支えられながら、化学療法を試みるジェーンだったが、もはや手の打ちようがないと判明
そんな折、ジェーンは偶然にもソーがかつて持っていた魔法のハンマー“ムジョルニア”に、持ち主を健康な身体にするという能力があることを知ると、一縷の望みを持ち新アスガルドへ向かう
新王ブリュンヒルデ(“ヴァルキリー”)の努力で大きく発展していた新アスガルドでは、破壊されたムジョルニアがそのまま観光客向けに展示されていた
ジェーンもそれを見ていたところ、突如としてムジョルニアが反応する
それからしばらくして、夜の闇に紛れ新アスガルドにゴアが襲来
ネクロソードの力で影から生み出された“シャドー・モンスター”を操るゴアに、駆け付けたソーとコーグは応戦する
激しい戦いの最中、ソーは破壊されたはずのムジョルニアの姿を発見
その持ち主となっていたのは雷神の力を手にしたジェーンだった
思わぬ形で再会を果たした2人は、仲間と共にゴアに立ち向かうことになるが・・・



マーベル・シネマティック・ユニバース29作目

『アベンジャーズ エンドゲーム』での激戦を終え、雷神ソーの新たな戦いを『マイティ・ソー バトルロイヤル』で手腕を振るったタイカ・ワイティティが再び描く

MCUの初期から中心キャラクターの1人として活躍していたソーも、戦いの中で数々の喪失感を抱いてきた
そしてアイデンティティーも、子、兄、そして王と、次々と失われていったことで、残された神、ヒーローとしての真価を問う
また同時に恋愛を通してソーの人間性にも目を向けているのが新しい

『マイティ・ソー バトルロイヤル』以上にタイカ・ワイティティ節が炸裂した作りで、割とハードな内容なのにハチャメチャでふざけっぱなし
すっかりコメディリリーフも板についた雷神はじめ、愉快なキャラクター達の掛け合いも楽しい

一方で、末期ガンを患いながらヒーローとして戦うことを選んだジェーンと、全ての神への復讐心に狂うゴアの存在がストーリーに深みを与えてくれる
2人の対比を通して、誰かに手を差し伸べることができるという尊さが上手く伝わる構成
この辺りは原作でも描かれてたように思うけど、演じるナタリー・ポートマンとクリスチャン・ベールによって更に重厚さを感じさせてくれる

ディレクターズ・カット時には、もともと4時間半くらいあったらしいのも関係してるのか、やや駆け足気味な展開と、タイカ・ワイティティのクセ世界観、そしてもはや単作で観てもよくわからなさそうなほど積み上がったシリーズと、やや鑑賞難度を感じるものの、素直に楽しくて面白い作品に仕上がってる
苛烈な世界観の中に人らしさや愛を持ち込んで希望を描く、神バトルにほろりと泣ける愛の物語とてんこ盛り
ラブ&サンダーの名は伊達じゃないので観ましょう
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