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ソー:ラブ&サンダーのSSSのレビュー・感想・評価

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)
2.3
何作目か数えるのも面倒なMCU新作。前作から引き続きタイカ・ワイティティが監督を務め、緩いソーの冒険が描かれる。事前からナタリーポートマン演じるジェーンがカムバックすること、しかも女版ソーになると提示されていたので本シリーズも主役交代になるのかと思いきやタイトル通り愛と雷の物語であった。前作がバディもののアクションコメディーとすれば本作はアクション主体のロマンティックコメディであった。本作はガンズアンドローゼズの曲を劇中歌として使うので80年代のようなサントラ映画でもある。


良かった点
・クリスチャン・ベール演じるゴア
全体的に緩い作品だが冒頭のゴアが神殺しに至る過程はクリスチャン・ベールが演じるだけあって説得力のあるものに仕上がっていた。彼がいないと基本ロマコメとて緩くなりすぎる本作において緩急をつけた存在でよかった。

・ソーの立場を変化させたこと
愛するものを失い続けたソーの着地点はどうなるかと思いきや、ゴアの娘とともに親として新たな人生のステージに立つというオチは上手い。アイアンマンのように劇的な最期を遂げるわけでもなく、キャップのように余生を過ごし引退というわけでもなく、立場が変わり人生は続く…というスタンスはMCUをフェーズ1から追いかけていて今や親世代になった観客とシンクロさせる狙いを感じた。

悪かった点
・ダレる中盤神の国パート
ソーたちだけではゴアに敵わないと神の国へ応援を求めに向かうくだりは次回作以降ヘラクレスを登場させるための布石とはいえあまりに退屈で物語上の必要性は薄い。強いて言うなら神々の権威が失墜している様とゴアの正当性を担保するためかもしれない。

・扱いがおざなりなヴァルキリー(テッサ・トンプソン)
前作で戦うヒロインとしてヴァルキリーだが本作では本家本元のヒロインであるジェーンが戦えるようになってしまったため、立ち位置が中途半端なまま退場してしまった。

総評
前作で大幅な方向転換を図ったが故に大成功を収めたソーの物語を1作目2作目の路線と統合させる意図で製作させた本作は娯楽作としては及第点の出来。一方で、前作での方向転換によるシリーズとしての歪みが大きく現れてしまい作品として不出来な面もあるが、過去作の要素の取捨選択は本作でしっかり行えたので次回作以降は過去のしがらみなく描くための布石ともいえる作品であった。
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