なべ

ソー:ラブ&サンダーのなべのレビュー・感想・評価

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)
1.0
 ひどい脚本。神に裏切られたゴアの神々への復讐を描くのにこのストーリーはないわ。悪ふざけが過ぎる。せっかくのクリスチャン・ベイルの熱演を踏みにじった罪は重いぞ。おもしろいアイディアがあるなら許せるがそれもない。アイディア不足を補う工夫もない。まともな感覚なら却下されるようなひどい話だよ。何度止めようと思ったか。でも最後まで観ないと批判できないので我慢して耐えた。
 オープニングのガーディアンズとのシーンでいきなりの嫌悪感が。共闘しているはずなのにロクにバトルに参加せず、そうかと思えばいきなり空気を読まずに大活躍。元々オフビートなガーディアンズだけど、そのオフビートを完全に無視というか破壊。その結果、彼らの存在がすごく希薄になった。こんな雑な扱いしかできないなら、ガーディアンズは出さなくていいよ。彼らと一緒に自分探しの旅に出た話は何だったのさ。
 てか、バトルロイヤルでも思ったんだけど、ソーをここまで愚鈍な単細胞として描くのはどうなの? ファンは納得してるの? そこを愛してるの? 神話の神様を人間離れしたズレた感覚で描くのは全然構わないんだけど、もうこれって病的だよね。もしかしてソーをアスペルガーのように描いてるのか? 異国の神は馬鹿扱いしてもオッケーってなんか無神経で不快だわ。
 例えばジェーンの癌の扱いもそう。どう思ってこんなふうに癌を扱えるんだろう。胃癌なのか膵臓癌なのか子宮癌なのかさえ明らかにされず、ただステージ4だという。ムジョルニアとの絡みを実現させるためだけの癌設定だから末期癌ってこと以外の細かいことはどうでもいいってわけね。ワイティティは癌で闘病中の人が観るかもしれないとは考えないんだよな、バカだから。癌を雑に扱うことで誰かが傷つくとは想像もできないガキなのよ。
 そこまで想像力のない人間が書く脚本がおもしろいわけがなく、ひと桁の足し算のようなバカみたいな展開がただ進んでいくだけ。
 ゼウスのキャラ設定もそう。とにかく薄い、浅い、幼稚。
 例えばあのアホゼウスに一撃食らわせるところだって、ゴアの神殺しとダブらせることもできたはずなんだよ。でも、そういう深みには一切立ち入らないんだよな。掛け算とか割り算ができないからか。いやいや、引き算すらできてないから。
 子供たちの誘拐にしても、てんで邪悪さに結びつかない。ただ子供をそこに当てはめただけ。そこから得られる効果や因果を何も考えてないんだろうな。そして子供たちと軍団とのバトル。はぁーー、もう何がダメなのが説明しないよ。
 ワイティティの頭の中を見てみたい。おまえにとって死とは?癒しとは?神とは?邪悪さとは?愛とはなんだ?と問うてみたい。
 これ、おもしろくないよね? ぼくにはこれをおもしろがってる人がいるのが信じられない。これがおもしろいんだったら、何だっておもしろいよ。
 別に映画の感性なんて人それぞれだから、ベルイマンをおもしろいという人がいてもタルコフスキーがおもしろいという人がいてもいいんだけど、ワイティティがおもしろいというのはさすがに…
 1.0は美術に。はー、久しぶりに怒りが込み上げてくるほどひどい映画を観た。
なべ

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