なべ

ハロウィン KILLSのなべのネタバレレビュー・内容・結末

ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

 予告編でマイケルをやっつけた三人が消防車とすれ違うシーンを見て激しく動揺した。ローリーたちじゃなくとも、ノー!それはダメ!消すなー!と。これはいい続編なのではないか。そんな期待を胸にジャパンプレミアへ行ってきた。

 うーん。そこそこ楽しめたけど、前作に及ばす。
 ローリーは重症なので今回は病院から出られず、代わりに街の人々がこぞって戦ってくれるPart2。束になっても敵う相手じゃないのにね。ええ、ええ、ご想像の通りです。案の定ってやつですわ。
 2018ハロウィンではやり過ぎなくらい贅肉を削ぎ落とし、ローリーとマイケルの時を経た対立構図が美しくて悶絶したんだけど、その分回収されてないエピソードが多々生じていた。
 例えば護送車が横転して逃げた他の精神病質者はどうなったの?とか、他の女とキスしてたアリソンのカレシはこれでお役御免なの?とか、黒人の保安官は何しに来たの?とか、いわゆる前作で放りっぱなしだったエピソード(と後付けされた過去のエピソード)の回収話。いかにも三部作の真ん中なカンジだ。
 そりゃなかったことにされたハロウィンII以降のシリーズと比べたら断然おもしろいよ。これは俺たちが解決すべき街の問題と事が大きくなっていく様子や、集団ヒステリーのヤバい描写は実によくできてた。恐怖をきっかけに、人間が変貌していく姿はなかなか見応えある。理不尽のカリスマ・マイケルの純粋な殺意と猛り狂う群衆の剥き出しの殺意、どっちが怖い?って問いかけでシリーズに新しい風を吹き込むのもありだと思う(好き嫌いは別として)。
 ただ、ぼくが許せなかったのはマイケルの殺人スタイル。一撃必殺が彼の流儀だったのに、何度もしつこく突き刺したり、凶器を工夫してみたりと、これじゃない感が…。なんかニセモノっぽいんだよね。やはりマイケル・マイヤーズは包丁一本でキメてほしい。それじゃ飽きるでしょって制作側の気持ちもわかるけど。
 いや、それは些細な問題か。それよりも街の連中とマイケル、どっちが忌まわしいのか⁉︎みたいな境界を曖昧にしといてから、マイケルは死にましぇーーん!的な何をやっても死なない不死身なんですっな方が問題だ。一気に興が醒めたわ。へえそうなんですね。はいはい。なるほど(棒読み)って。そんな後出しジャンケンみたいなことするかなあ。
 前作のレビューで続編が決定してることに触れて「それがあかんっちゅーねん!」と過去の誤りを指摘しておいたが、やっぱりそうなるのね。
 せっかく価値あるものをつくっても、スケベ根性を出して台無しにするってパターンは映画ではよくあること。スタローンの作品などまさにそうだし、ターミネーターやスター・ウォーズも結局生き恥を晒して、オリジナルにミソをつけた。
 たぶん何も考えない快楽派層からは支持を得そうだけど、おりこうさんたちは「そもそもこれって三部作にするほどの話?」って我に返っちゃうと思う。そもそもってところまで我に返らせちゃダメだ。
 おりこうさんをバカにさせるくらいの見せ方をした偉大な前作に対し、ハッとバカになってたことを気づかせる続編。この罪って大きいぞ。
 三作目ではきっとマイケルとローリーは融合して消滅するんじゃないかなあ。知らんけど。
なべ

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