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ハロウィン THE ENDの湯呑のレビュー・感想・評価

ハロウィン THE END(2022年製作の映画)
4.8
『KILLS』が過去作の同窓会キャスティングぐらいしか見どころが無かったのでこの完結編にも全く期待していなかったのだが、いやなかなか頑張っている。シリーズを通してのヒロインであるローリーが自身の体験を手記にする、という額縁構成を採用した事で、本作はメタ・ホラー的な領域へと踏み込む事になった。そもそも、ローリーとマイケルの戦いに決着がついたとしても、ブギーマンの物語は終わらない。いずれ続編(リメイク?リブート?)は作られ、死んだはずの仮面の男がナイフを片手に再降臨するだろう。そう、もはやブギーマンがマイケル・マイヤーズである必要すらない。人々が求めているのは血肉を伴った人間としての殺人鬼ではなく、ホラー・アイコンとしての抽象化されたモンスターなのだ。マイケル・マイヤーズの身体が粉々になったとしても、誰かが仮面を受け継げばいい。何らかの「物体」を媒介にして悪意が憑依していく事。それはまた、『遊星からの物体X』や『クリスティーン』、『ゴースト・オブ・マーズ』の監督であるジョン・カーペンターが追求し続けたテーマでもある。
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