ご存知の通り前任のブラックパンサーである
チャドウィックボーズマンという素晴らしい俳優と
ティ・チャラという偉大な王を失って
製作された本作。
相当な難産であったろうというのは想像しやすく
やや強引な展開であったり、長尺という難点はありつつも
MCUツアーに参加してきた身空としては
やむを得ない、むしろよくここまで練り上げたとしか
言いようがない。
何しろ前任が偉大すぎて
誰もがあんなに気高く高潔ではあれないし、
ただ強さを得たからブラックパンサーとなるわけでもない。
本作で生まれる新ブラックパンサーが
まだまだ未熟ながらもワカンダの守護者として
第一歩を踏み出す物語として、
言うなれば前任が「シビルウォー」で経験したことを
踏襲するような形で描いたというのは見事というほかない。
本作で一応のヴィラン役を担うネイモア率いるタロカン国も
かつてのワカンダ、進む道をほんの少し違えただけのワカンダであり
対立構造というより鏡写しのような、
王を失い世界を焼き尽くさんばかりの悲しみと向き合うような
後任が乗り越えるべきとてつもない大きなハードルを
ヴィランとして設定したのは挑戦的。
その分、分かりやすい敵というよりは
内省的な側面も強くスカッと感には乏しい印象。
映画の評価とは関係なく
タロカン人の青い肌で水中戦を得意とするというルックは
近日公開予定の「アバター2」にそっくりで
アバターサイドにとってはタイミング悪いなあなんて思ったり。