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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ブラックパンサーであるワカンダ国王ティ・チャラが病で帰らぬ人となってしまう。1年後、ティ・チャラの母が女王として統治し、落ち着きを取り戻しつつあるワカンダ国の前に、海の帝国タロカンの王が現れる。ワカンダだと同じく神秘の鉱石ヴィブラニウムを所持するタロカンだが、彼らの鉱石をアメリカが狙っているという。ヴィブラニウムの探知機を開発した科学者を確保して引き出せとタロカン王に要求された女王は、その任務を親衛隊長に命じる。親衛隊長は気分転換のためにと兄の死の悲しみを抱える王女を同行させれることを女王に提案するのだが......という話。ブラックパンサーシリーズの第二弾。

主演俳優の永眠という大きすぎる苦難を乗り越えて、二代目ブラックパンサー誕生にまつわる物語として上手く昇華させた快作。
パート1では結構な脇役であった王女を主役にせざるを得ない状況は相当大変だったと思うのだが、その王女を周囲のメンバーで盛り立てている様子が伝わってきてとても好感がもてた。まさかパート1の悪役までその任を担うとは......

ブラックパンサー不在の中、国際協調や外敵の脅威の問題を前に王女が悩み苦しみ成長していくストーリーには共感できたし、超科学の武器を全面に押し出した戦闘シーンは相変わらず爽快だった。タロカン王の陸空海を自在に動きまわるアクションは必見。深海に存在する帝国の美しさにも惹きつけられた。女子大生科学者のキャラも良い味を出していた。

難点は、王女が長身で細身のためか、やはり肉弾戦における重厚感に欠けた。ハーブで超人的な身体能力を得たとはいえ、そもそも王女は技術者畑の非戦闘員だったわけだから、無理に格闘専門にする必要もなく、アイアンマン的なハイテク技術と頭脳を主体とした戦い方にしても良かったのでは? あと、割と登場人物の危機意識が低いのが気になった。いくら容易な任務とはいえ親衛隊長ひとりの護衛で王女を連れ出すのは不用心だし、それで王女を拉致されたら女王が怒るのも無理ない。また、拉致した王女の警護が薄すぎてあっさり奪還されるタロカン側の姿勢もイマイチだった。国内では国賓待遇で迎えているとはいえ、対外的には人質扱いなわけだし......
といっても、全体的には大満足な出来だし、苦しんだ末に2代目としての役割を果たした王女に最後に明かされる秘密はとても粋な内容だった。

新王あの人かあ。外交とかできるのか心配(^^)
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