TaiRa

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのTaiRaのレビュー・感想・評価

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チャドウィック=ティ・チャラが亡くなった事で映画としては難しくなったと思う。追悼に振り切ったのは良いけど、それにしては長い。

ワカンダ対タロカンのモヤモヤする同士討ち感で、全くカタルシスを得られないクライマックス。敵役であっても悪役ではない相手との戦いはライアン・クーグラーの作家性なんだけど、今回はシンプルにその構図を使えてないから厳しい。「高貴すぎる」ティ・チャラであれば写し鏡としての敵がもう一つの正義として描きやすいんだけど、今回はめちゃくちゃ不安定な主人公を中心に置くので、基準の価値観がなくて乗り辛い。復讐に突き進んでダークサイドに堕ちかける主人公を描いても良いし、それで面白く、尚且つ追悼映画にすることも可能だとは思うけど、ちょっと要素が渋滞した感じ。前作のラストにおけるワカンダ開国の件も有耶無耶というか、そもそも善良な独裁者という神話的存在ありきの政策なので彼が死んじゃうとどうにも出来ない話ではあるんだが。その問題を引き継がざるを得なくなった主人公の話にすれば良いのにとも思ったが。あと、ネイモアはもう一人のティ・チャラと言える存在なんだから、シュリから見た時の彼をもう少し違う感じで描いても良かったのにね。あとネイモアの主張にもう少し説得力が欲しかったな。映画2本文の物語を無理にまとめた感じがもったいなかった。チャドウィック=ティ・チャラのフッテージ使いの品の良さは流石『クリード』の監督だなと。
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