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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのNowLoadingのレビュー・感想・評価

3.9
 今日のマーベル。

 最初にチャドウィック・ボーズマンの代役を立てないと聞くと、ん?ということは敵役キルモンガーの復活か?とそれはそれで面白い展開になりそうだと思っていたのだが、普通に妹シュリが順当に引き継いでいる。(ちゃっかりキルモンガーも映画内で登場していた)ただこの話はそれでおしまいではないのがもう凄い。

 初っ端から最後までずっとティ・チャラ王を思うシーンがずっと続く。これはここまでブラックパンサーに思い入れというか、執着していないと出来ないのでこれはとても驚きであったと同時に感動する。海外ドラマとかだと重要人物であっても色々な理由でサクッと退場するのを目にするので、アメリカではそんなふうにするんだなぁと感じていたからだ。「すずめの戸締まり」のように亡くなった人を想う話だが、これはヒーロー映画なのでちゃんとヒーロー映画としてのメッセージがよりハッキリしているのだと思う。

 今回の敵は海の底からやってきたタロカン帝国のネイモアなる男。まさかのムー帝国。あの轟天号と比べてチャチイ特撮表現が現代のスーパーCG技術で蘇り地上人を恐怖の淵に追い込む。これだけである意味いいモノが観れたとかなり満足気。

 そんでこのネイモアが国では慕われる帝であることが深みにもなる。彼なりの問題解決方法が戦争、紛争であったわけだ。互いに守るべき国民がワカンダにも向こうにもありながら戦争しかないという悲しい話が進む。全くもって前時代的なんだがこれがアフリカの現実でもある。政府勢力と反政府組織は相手が気に入らないから倒すしかないと言わんばかりのように。

 そして悲劇が始まり、そこから新たなブラックパンサーは生まれる。復讐という使命を引き継いで。このストーリーが予想できるものかと。ブラックパンサーなしでこうも話を引き立てるのが素晴らしい。サノスの時は出来ない復讐も同じ地球の人間ならばお礼参りしなければならないということか。

 このヒーロー追悼映画から一気にラスアス2ばりの復讐劇に頭が捻じれる感じはこの映画でしか体験出来ないものだ。追悼シーンとアクションのアンバランスさ故に三時間の長尺はさすがに眠くなるが、鑑賞する価値は大いにあるし、鑑賞後に紛争劇の価値観が見直されるまたとない機会になる。戦争はいけないことだが、じゃあ何故戦争はなくならないのか、そんな当たり前がもっとより鮮明に表現されている。
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