90年前の作品ということを考慮して、資料的価値を優先して観れば興味深い点もあるのだが、純粋に映画として楽しもうとするのは無理な作品。
作品解説などかなりヨイショしているものがあるが、当時名作でも時間は容赦なく風化をさせる。
1930年代を生き、今作にノスタルジーを感じることが出来る人がいなくなった今、「映画」としての使命は終わったのだろう。
「革新的な音の使い方」等と解説では言っているが、「音」の使い方が分からず試行錯誤してこうなってしまったようにしか聞こえない。
「詩的リアリズムの出発点」と言われるが、奥行きを出すためにデフォルメしたパースのセットを無視して、変な方向から撮った結果にしか見えない。
そして何よりヒロインがリアルではあるが尻軽すぎ。フレッドを嫌がる振りをしても、部屋に入れて一緒に遊びに行く間柄。そのくせアルベールの家に泊まるし、たった数週間で親友に乗り変える。ビッチなのがきつい。
また女性を物扱いしている所など、フェミの皆さんには絶好のつっ込みどころだろう。
巨匠と呼ばれる人の作品を「評論家」に踊らされて有難がるのはいかがなものか?と思ってしまう。
映画ではなく資料としてみる作品だろう。