ルネ・クレール監督のトーキー第一作。
アルベールは、街角で歌い譜面を売ることで生計を立てていた。親友のルイとカフェで見かけた娘に声をかけようと賭けをするが、娘にはしつこく付きまとっている男がいた。
特徴的なのは台詞の使い方。登場人物に語らせ過ぎない。
ガラス越しの無声での表現とか、台詞に頼らない場面が度々見られ、抑制された声と逆に繰り返される音楽が印象に残る。トーキーに批判的だった監督ならではだったのかもしれないが見事なトーキー作品に仕上げてきた。
冒頭のパリの街並みからだんだん下降して主人公達に寄っていくシーンは溝口監督の新平家物語を思い出した。