かめの

夕陽のあとのかめののレビュー・感想・評価

夕陽のあと(2019年製作の映画)
3.8

母親二人、とりわけサツキ役の山田真歩さんの演技が素晴らしかった。

解決方法なんて永遠に見つけられないし、どちらの元にいれば絶対幸福になれるか、なんて誰にも分からない。

サツキが赤ん坊の頃から育ててきた子を手放せるわけがないことはもちろん、茜が自分の産んだ子を諦めることが出来ない気持ちも痛いほど分かる。だから尚更、最後の決断に胸がえぐられる思いがした。我が子と暮らすことが出来ない、そのことが人生の全てを真っ暗にしてしまう気がして、正解などない終わりだったと改めて感じさせられる。

一度失敗したらもうやり直せないのか、と問われれば、何度だってやり直せると思う。だけれど、全て元には戻らない。どんな理由があったとしても、犯した罪の代償は大きい。

家族それぞれの感情に寄りすぎず、やや緩慢とさえ思えるほど丁寧に人物へ迫り、社会的要因を取り入れている点で、非常に平等な視点を持って構成されていると思う。また、子どもは本当の親に育てられるべきだとする考えに一石を投じる結末だった。

ただ、男性陣たちの演技には、ある意味泣かされた。
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