Shin

夕陽のあとのShinのレビュー・感想・評価

夕陽のあと(2019年製作の映画)
4.4
本作の冒頭のクレジットに「長島大陸映画実行委員会」と表示されていたので、気になったのですが。
なんでも長島の過疎化に悩む町の有志が立ちあがり、企画を立ち上げた作品ということでした。
素晴らしいです。

僕は映画を観る際、職業柄かもしれませんが、まず主人公が誰なのかということを探っていきます。
ある目的を持って、葛藤を抱えながらも、それを乗り越えて成長していく人物です。

本作では"産みの親"と"育ての親"の主役たちが登場しますが、この二人が主人公ということになります。

脚本や演出にしても、どちらが正しいとか、どちらの味方だという表現はされていません。
その為、どちらかまたは両方の母親に感情移入するのかは、観客に委ねられます。
そして、物語の終盤になると、地元長島でのオーディションで選ばれたという、息子役の豊和君が答えを提示してくれます。

二人の母親を照らす室内の照明には暖色系が多用されていましたし、
タイトルにあるとおり、夕陽と海が二人を常に温かく見守っているのが、印象的でした。

今年の邦画は家族を描いた作品が多い気がします。
やはり現代において家族の関係性が希薄になっていることが挙げられるかと思います。
本作はこの問題にヒントを与えてくれる作品なのではないでしょうか。
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