茜

リサと悪魔の茜のレビュー・感想・評価

リサと悪魔(1973年製作の映画)
3.6
自分自身も訳の分からない世界に迷い込んでしまったような感覚に陥る幻想的なホラー。

とにかくマリオ・バーヴァの作品はどれも安定して映像が美しくてかっこよくて綺麗。
オープニングから目に突き刺さる鮮やかな赤色。
そこからトランプのカードに乗せて登場人物達を紹介するという粋な演出もツボ。

旅行先のスペインで、何かに吸い寄せられるように雑貨店へと足を向ける主人公のリサ。
そこで奇妙なハゲのおっさんと出会ってしまった事により、不可思議な世界へと足を踏み入れる事になる。
道に迷ったリサが迷い込む古いお屋敷、そこで巻き起こる殺人と摩訶不思議な出来事。
唐突で頭が追い付かない展開もあるにはあるけど、テンポ良くスムーズに話が進むお陰で飽きる事なく楽しめた。

床に広がる赤ワイン、屋敷内の美しいインテリアとそこに佇む不気味なマネキン達、そして主演エルケ・ソマーの綺麗な瞳が印象的。
彼女が挑んだベッドシーンのねちっこさに少々面食らいつつ、そんなところすらも不気味さに拍車をかける。

配給会社が見つからずほぼお蔵入り状態だった過去を持つ作品らしいけど、時を経てこうやってサブスクで鑑賞出来る有難さよ。
茜