三四郎

チャタレイ夫人の恋人の三四郎のレビュー・感想・評価

チャタレイ夫人の恋人(1955年製作の映画)
3.4
『チャタレイ夫人の恋人』を読んだのは大学1年生の頃だっただろうか…。
夏目漱石、森鷗外、二葉亭四迷、武者小路実篤、横光利一、トルストイ、ヘミングウェイ、オースティン、ジェームズ・ヒルトン、O.ヘンリーあたりを特に好んで読んでいた私には、もう衝撃的というか刺激的過ぎるというか…、兎に角その性的描写に驚いた。谷崎潤一郎の『春琴抄』を読んでいて、目に針を刺すところで全身から力が抜けて文庫本を落としてしまった時と同じくらいの衝撃だった。

さて、この映画は、1955年公開ゆえ、科白で情事の過程を語るのみで、現代の映画のようにあからさまなことはしていない。それはそれで逆にerotischであるような気もするが笑 しかし、原作小説よりも性的描写のトーンは抑えられているのではなかろうか。
そして、今回この映画を見て、『チャタレイ夫人の恋人』は、階級差別だけでなく、イギリスの厳格な家父長制・長子相続制から生まれた悲劇を主題にしている純文学だったのだと思い至った。そう考えると、なかなかどうして奧深い文学作品だ。

ダニエル・ダリューが映画冒頭では特に美しくもなくやつれた感じだったが、森番と出会い関係を持ち、段々と若返り活力溢れ美しくなってくるように思えた。これも演出かしら?あるいは、このVHSの画質の問題か笑
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