ーcoyolyー

ハスラーズのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

ハスラーズ(2019年製作の映画)
4.0
この映画、ショパンの使い方が面白かったな。ドライになりすぎずウェットになりすぎずニュートラルでありつつ微かに女性たちに寄り添う感じ。男たちには気付かれないようにそっと。

私のNYC生まれの従妹が日本に来た時、アメリカで韓国人に間違われることに対して嫌そうというか困ってそうな顔をして軽く話をしていたのですが、彼女のそれは日本で日本人が嫌韓だなんだとやってるレイヤーとは全く異なる、「韓国からアメリカに出稼ぎでやってきたセックスワーカーと間違えられて困る」という話で、アメリカに住む若い東アジア系女性が当地でどう見られているかというのをこの作品のコンスタンス・ウーを通してほんの少しだけ触れられたような気がして、それは日本で見る差別とかイデオロギーとかよりももっと切迫した身の危険や実害を被るものなのだろうなと、そのことがずっと頭から離れませんでした。どこの国のどんな人種であろうと、セックスワーカーであろうとなかろうと、そんなことどうでもいいという社会をいくら私たちが求めてもその実現への道のりは遠く厳しい。だからそんなことはさ、軽くさらっとしか言えないよね。私だったとしてもそうするほかない。そして従妹はコンスタンス・ウーの側だけではなく取材していた女性と同じ大学出身でもあるから、それでああいうエリート男性に囲まれていたりすると本当に色々あるんだと思うわ。

女が生きるのはどこの国でも苦しい。そしてそんな苦しい女たちが未来にその苦しみを持ち込まないように戦っていた話でもあった。

コンスタンス・ウーもジェニファー・ロペスも最優先事項がそれだったから理解し合えていた。それはやはり感動すべきではなくて怒るべきところなんだと思う。彼女たちをその境遇に追いやった社会制度に対して。
ーcoyolyー

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