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ドント・レット・ゴー ―過去からの叫び―のはのレビュー・感想・評価

3.0
姪一家が殺され悲しみのズンドコに陥った刑事のもとに、事件前の過去の姪から電話がかかって来る話。

好きなテーマなので三割り増しくらいで楽しめた。
何もわかっていないままの未来から、過去の姪を操作して真相を探り、死を回避させないといけないもどかしさと緊張感。
…と思ってたら、中盤そんな緊張感を完全に台無しにする展開があって、ストーリー的にはだれちゃった感。
そこからは製作者の、タイムパラドックスをどう解釈して扱うか? って点が興味の対象に。
例えば未来からの指示で過去の姪を救ったら、その間の全世界の出来事はどう書き変わるの? それをどう表現するの? っていう。

以下ネタバレあり






最後の展開は因果を考えると明らかにおかしいんですよね。
「未来からの干渉で過去が書きかわった」んだから、書き換えの起点になってる未来が消えてしまうのはおかしい。

んだけど、解釈としては割と自分のものに近くて、客観的にみた時間軸ではそう言う矛盾ってありえないことだけど、主観的にみた時間軸では当然のことなんじゃないかなっていう。

人間の体を観測装置として捉えると、意識はその装置を通してしか世界を捉えることができない。
なので意識が使用する観測装置を過去のものに変えただけ、って考え方。
制作者が同じ解釈とは全く思いませんが、まあ自分的には納得しても良い展開だったのかなと。



余談ですが、人間=観測装置説で言うと人間は死なないそうですよ。
意識は観測装置を通してしか世界を見られないので、観測装置が正常に機能している世界Aと、壊れてしまった世界B両方の可能性があった場合、意識は世界Aに残り続ける。
つまりどのような生命の危機に見舞われようと、無量大数分の一でも生き残る可能性があれば、意識は生き残った方の世界にとどまり続ける、=死なない。
あの時死んでなかった方がおかしいのに生きてる! って方はそう言うことだそうですし、その奇跡は今後も永遠に起き続けるそうです。
死んでる人たくさん見たよ、と言う反論については、「あなたが永遠に生きる世界と、その人“も”生き続ける世界が同時に存在する可能性は限りなくゼロ」ってだけなんですね。
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