まーしー

ルース・エドガーのまーしーのレビュー・感想・評価

ルース・エドガー(2019年製作の映画)
3.0
成績優秀、スポーツ万能、スピーチが得意な男子高校生、ルース・エドガー。ただし、アフリカのゲリラ組織出身の過去を持つ。
ある日、ルースのレポートに不信感を抱いた歴史教師が、彼のロッカーを調べてみると——。

果たしてルースに裏の顔はあるのか? それとも歴史教師のレッテル貼りなのか?
この境界が曖昧なまま、映画は進行する。
ルースに疑念を抱く家族、精神疾患を抱える歴史教師の実妹、涙ながらに語るルースの元恋人……周囲の人の言動が、より真実を曇らせていく。
そのため、はっきり言って爽快感はない。心のどこかにモヤモヤが残り続ける。

ただ、完璧な高校生に見えるルースが、複雑な思いを抱いていたことは確か。
出自に対する偏見や黒人差別、良い子でいることの重圧……ルース本人にしか解らない辛さだろう。
鑑賞しながら、浜崎あゆみの『A Song for XX』の歌詞を思い出した。
 いつも強い子だねって言われ続けていた
 泣かないで偉いねって
 褒められたりしていたよ
 そんな言葉ひとつも望んでなかった
 だから解らないフリをしていた

本作で描かれているルースも、同じような気持ちだったのかも知れない。
高校生という思春期。自我の目覚めを経験する年頃。優等生でいることに疲れてきたと想像できる。
ただ1つ言えることは、母の愛は絶対無比だということ。
ナオミ・ワッツ演じる母が、それでもなお、ルースとコミュニケーションを図ろうとする姿には胸を打たれた。

以上のように、全ては観客の受け止め次第。
重いテーマを前面に押し出すことなく、鑑賞した人の解釈に委ねられている。
興味ある方はぜひ。