ユウコリリーナ

ルース・エドガーのユウコリリーナのレビュー・感想・評価

ルース・エドガー(2019年製作の映画)
3.8
人種に対するステレオタイプなイメージや偏見、大人が知らない思春期の子供たちの行動、「そこ」から抜け出すために、逆に型に嵌めてしまう窮屈さ
一概に正しいとか間違ってるとかではない、人間は多層的にできているということを感じさせられた。
果たしてルースは本当に「完璧な優等生」なのか、それとも本性は恐ろしい「怪物」なのか?
なんて、それを定義すること自体が野暮なんだろうな。誰しも他の人が知らない一面があるもの。

ルースを演じるケルヴィン・ハリソン・Jr、めっちゃ良かったです。
劇中で言われているように、確かにちょっとオバマみがある。スピーチがうまくて人の心を掴むのに長けている魅力的な人物。
そして対立する教師のオクタヴィア・スペンサーも素晴らしい。
大人、そして教師であるという立場なら彼女のような考え方になるのは自然なことだろうし
目的が正しい (と自分は思っている) なら方法は問わない、という人は実際にいる。
この2人が相対している場面はどれもヒリヒリしていて圧倒されました。

人種差別に対する抗議活動が盛んな今、日本公開されたのはまさにタイムリー。
結末に対する賛否は分かれると思いますが、問題提起という点だけでも意味がある作品ではないでしょうか。
自分の中にある色々なものを考えさせられる良作です。