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アラビアンナイト 三千年の願いのksのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

土産物として選んだガラスの小瓶には魔人が封印されていた。封印を解いた物語学者は魔人の身の上話を聞き、魔人に叶えてもらうため自分の願いについて考える。
イスタンブールのホテル一室で極彩色の過去が花開き、魔人と彼女の抱く孤独と深い痛みが交差したとき「物語」は大きく動き出だし、過去と未来も繋がってゆく。
中心には愛と自由への渇望。科学と物語の狭間で私たち人間は星を見上げる。

単なる「昔々あるところに」豪華絢爛な物語じゃないのよ。感情と科学が織りなす層が緻密で舌を巻く。

あとセックスシーンに相当する場面も何度か出てくるんですけど、常々人の裸体がリアルに絡み合う以外の表現はないのかと思いながら官能的な場面を流し見てきた自分にとって、今まさに得ているであろう快楽を視覚的に見せてくれる今作の表現はものすごく刺激的で美しく感じました。

イドリス・エルバとティルダ・スウィントンのほぼ二人芝居。すごかったなあ。上映あるうちにもう一回見たい。
今日は時間がなくて手に入れられなかったけど、見終わった後絶対美味しい豆菓子が食べたくなるよ。明日買ってこようかね、ひよこまめスナック。

(ただまあ魔人と学者がああなっちゃうのは分かるけど分からん……と思う。肉体的な快楽と愛が直結する感覚だったり、それが良いかどうかがしっくりこない身としては、置き去りにされる感もある。彼女はその道を選ばずとも愛に至れるのではないか??という。)
⇒(3/2追記 この作品は、おとぎ話の体をした「アリソンの物語」なのだとすると、魔人も彼女の一部だと考えるのが自然かな。イスタンブールの部屋で、彼女はあるべき自分を取り戻したんだ。各エピソードも、アリソン自身の経験が反映されたものだとすると、妄想で片付けられない重さと苦しみがある。でしょう?
異種間ロマンスを核のように見せかけた、ある女性ひとりの人生と精神を壮大に描いた作品だよ。)
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