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アラビアンナイト 三千年の願いのandesのレビュー・感想・評価

3.8
とても変な映画で変な展開なのだが、冒頭のモノローグから分かりやすく、「物語」「孤独」がポイントであることが、提示される。
アリシアとジンの会話劇に、回想で過去の物語が挟み込まれる前半は、設定の割に地味なので、脱落する人もいると思う。自分は2人の物語を通じたコミュニケーションが面白く、ツッコミを入れつつ物語の機微を読み取るアリシアの感情の変化がスリリングであった。
徐々に「物語」が、様々な意味合いで捉えられる展開となり、感動する。語る対象がない物語は意味をなさない。魔神もアリシアも孤独なのである。互いの物語を共有し尊重することは愛でもある。そして、物語を消費するのでなく語り継ぐことが生きた証なのだ。
さて、テクノロジーが進化した現代。「結果」や「答え」が優先されるなか、映画という「物語」は役目を終えようとしているのか。そこに観客がいて自身の「物語」と照らし合わせて語り継ぐ限り、まだまだ「映画=物語」は必要なようだ。ジョージ・ミラーはロマンティックな監督だと思う。
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