井手雄一

アラビアンナイト 三千年の願いの井手雄一のレビュー・感想・評価

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先週、今週と観た映画
アラビアンナイトとエブリシング•エヴリウェア•オール•アット•ワンス。
どこか鬱屈としている自分の人生に閉じ込められている中年を過ぎた女性の主人公2人。
1人は悲観的に、もう1人は孤独に満足を感じ、他者や世界を拒絶しているんだけど、自分が手に入れられなかった人生を、1人はマルチバースで、もう1人は御伽話と魔神の語る人生で、望まないまでも様々な可能性という蛇に繋がってしまい、自分が本当に望む人生って?と葛藤しながら自分のインナーバースに立ち返るストーリー。
円、3、回る、繋がる、立ち戻る。そして真ん中の穴、埋めるのは、自分の外の世界、反転、リバース、ドーナッツ・ベーグル。
コロナ禍に作られた色が出ているけど、どちらも人とのつながりや愛が全て、などという安易な答を出す素振りを見せつつ、そうではなかった。
無償の愛でもない、分け与える与えられるとか、助けるから幸せにしろとか相互扶助やギブアンドテイクでもない。
魔神は人の願いをかなえず好き勝手に現れ、娘は正直に自分の人生を生きる。恋も愛も家族もそういうこと。
お互いのアイデンティティと自由を尊重し認めてあげる。
そして、「人に親切にしなさい。」というエブリンの夫(キー・ホイ・クアン!)の言葉が、あるべき自分の立ち位置と他人との関係全てを物語っていたように思います。
井手雄一

井手雄一