やまだ

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコのやまだのレビュー・感想・評価

4.2
11/22 filmmakers 試写会 字幕

ベネディクト・カンバーバッチと猫、という2つの好きなものの映画ということで初めて試写会に応募して、見れました!嬉しい!

ネコイラストレーター、ルイス・ウェインの半生を描いた映画。19世紀イギリスの貴族階級なので、ヴィクトリア朝時代の衣装に街並みに、人も風景もいちいちものすごく美しい。ベネディクト・カンバーバッチ演じるルイス・ウェインのくるくるパーマの明るい栗毛に、口ひげの容貌が可愛らしくて、ベネ様の得意分野、ちょっと変わり者の天才キャラ。1男5女の長男ってのも可愛い。

最初のナレーションが印象的で、「奇妙な偏見と糞まみれで、しかしとても美しいものに溢れていたヴィクトリア朝時代」(めっちゃうる覚え)ってのが、全体を通してとても深くて、様々な偏見のなか多くの異端を抱えるルイス。貴族階級と平民の結婚は憎悪の的だし、女は働かずに嫁に行くのが当たり前、精神疾患など家の恥だし、猫はねずみ捕りのためでペットじゃない。それでもルイスは全く気にせずに、愛する妻と美しい時間を過ごして、猫と過ごし、幸せに過ごすのが物語の温かいところ。妻との時間が本当に美しく描かれてて、風景が美しくて、シーンが絵画のように彩られていくのが印象的。

妻を亡くしたあと、悲しみと混乱の中でそれでも踏ん張ってるルイスは本当に頑張ってて、正直家計が苦しいと言えども貴族階級なので、休養地もすごい豪華で妹たちもめちゃくちゃ綺麗なドレスを着ていて、わっつ??って思ったけど、でもやっぱり徐々にルイスの症状は悪化してて、どんどん不幸も折り重なって、ルイスの混沌が溢れていくのが悲しかった。途中謎の万華鏡猫シークエンスがあって、ビビり散らかしたけど、多分ルイスが見た混沌なんだろうなって思った。最後綺麗なケアホームに移ってて良かった。

この映画、やっぱり風景がものすごく綺麗だし、衣装が本当に素敵で、どこのシーンを切り取っても絵になる。

あと猫沢山出てきてかわいい。途中から猫にもセリフがつき出すのかわいい。ジャンプ!僕ジャンプ好き!!

”猫は狡猾で、愚かで可愛らしくて、勇敢で、臆病なの、私たちのように”

それまで猫をペットにするなんて無かったのに驚いた。こんなに可愛いのに……誰でも養ってあげたくなっちゃうだろ猫ちゃん……

これ原題が”The Electrical Life of Louis Wain”とあるように、ルイスは電気にすごく関心があって、電気とは我々の間に流れているうんぬんかんぬんってよく分からないことをよく言うんだけど、いわゆる電波ちゃんって感じ。当時、電気の発明がでかかったのもあるし。そういえば、ベネ様エジソン役もやってた。でも最後に、それを私は”愛”と呼ばます、っていうサンボマスターみたいなキャラがいて、腑に落ちた。

ルイスは頭の中の混乱の中、愛する人と愛する猫と美しいこの世界を”見て”、描いた。とても幸せで、悲しくて、切なくて、美しい物語。
やまだ

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