Mariko

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコのMarikoのレビュー・感想・評価

4.0
奇人の天才を演じたら当代右に出るものナシのベネディクト・カンバーバッチが、猫をモチーフにしたイラストで人気を博していくイギリスの画家が統合失調症に苦しむ生涯を演じる、と言われたら観ないわけにはいかず鑑賞。

正直、映画としてよくできているかというと微妙、というか...「実話をもとにした物語」によくあるように、出来事(事実)を追いかけることで案外ストーリーが平坦になってしまう、という傾向に見事にハマっている感じで、人物描写も案外薄めというか、脚本が少々雑。
じゃあダメだったのかというと全くそんなことはなく、まあネコ好きベネ様好きの私なので相当差っ引いて考えないといけないという側面はありつつも、絵画のように美しい風景の切り取り方や金言とも言うべき素晴らしいセリフの数々に数度落涙したのは事実。「この地球にいる事がこれほど難しいなんて」のあの表情に泣かずにいられようか。あと、ニイニイ鳴いてる子猫に二人で名前をつける場面はヤバかった。

邦題の『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』は、「ラブストーリーにネコ出しておけば間違いない」的な昨今の日本映画市場に合わせてのものと思われ、そのつもりで観に行くと肩透かしを喰らう感は否めないかも笑。
原題は"The Electrical Life of Louis Wain"で、これも作中ルイのオカルト的とも言えるElectricityへの執着にたびたび「なんで?」と思わされて、それも症状のひとつなのかねえなどと思って今ひとつピンと来ていなかったのだけど、終盤、とある感情のことをそう表現していたのであろうことが匂わされて、結構納得した。日本語でも言うものね、電撃的。

評価には困るけれど、私は好き。
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