ペコリンゴ

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコのペコリンゴのレビュー・感想・評価

3.6
記録。
描いたのはネコの魅力と妻への永遠の愛

多くの人がその名は知らずとも彼の絵は知っているであろうイギリスの猫画家ルイス・ウェインの伝記映画。主演はベネディクト・カンバーバッチ。

今でこそスーパーアイドルの名を欲しいままにするネコの地位向上に寄与したらしいルイス・ウェイン。

精神の病を患った彼の絵の変遷とされる画像が有名かもしれませんが、それとは別に、ユーモラスで愛敬のある、擬人化されたネコたちを何処かで見た事があるのではないでしょうか。

本作はそんな唯一無二の絵で人気を博したルイスの生涯にスポットを当てた映画です。

時は19世紀。上流階級に生まれた彼は早くに父親を亡くしたことで、家族で唯一の男性として母親と5人の姉妹を支えるためにイラストレーターとして活躍。その後、家族の反対を押し切って妹の家庭教師であったエミリーと身分違いの結婚をし、田舎の家に引越します。

そんな折、雨晒しで震える子猫を見つけ、ピーターと名付けて飼うことにする2人。ただ、穏やかな時間はそう長くは続かないのです…。

結構な変人であったらしいルイス。
色んな意味で生きづらかったであろう彼を抜群の表現力で演じるカンバーバッチが素晴らしいです。20代〜晩年の70代まで全て演じてます。

お相手のエミリーに扮するはクレア・フォイ。
実際のエミリーはルイスより10歳年上ですが、クレアはカンバーバッチより年下。でもそこは気にならず、包み込むような愛を感じる演技でした。

この映画は強調して描いていませんが、客観的に見ると割と悲劇的なルイスの人生。

とはいえ、その優しく誠実な人柄と、それを支えた源である”愛”をしっかり感じられる作品であったと思います。

ちなみにネコ映画度はそこまで高くはありませんので悪しからず。