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ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコのharunomaのレビュー・感想・評価

2.3
1:1.33 近年稀に見るサイレント並のイメージのオーバーラップ、雨、嵐、光のスペクトル、蝋燭、賑やかで逞しい家族と妹たち、自由な移動、ダッチアングル、アイリス、ズーム、ニューヨークの路上の燻んだ着色、ザ・ビーチ・ボーイズ SMILE のような玉手箱の音楽、色彩と光と闇、それでいてウェス・アンダーソンではないということ。ヘッドルームのある見つめ合う切り返し、デヴィッド・ロウリー以降なのだが、技術的な表現の達成が物語を駆動しはしない。リャマやら羊やら、猫やら犬、破天荒な動物カンバーバッチもやはり1:1.33 が合っている。住宅から階級差を感じないのはおかしい19世紀。統合失調症の視点イメージやら、万華鏡のようなものは、後半はいただけない。
a true story とは、そのままであることではない。

「人生は運動なのよ」と誰かが言っていると、引用符のない適当な読書人の書籍、ゴダール、オフュルスの息子、に書いてあるが、そう、運動がない。

イメージは喜び(愛)だが、傍らには無(死)がある。
無がなければ、イメージの力は換気されない。 
ゴダール アワーミュージック

若手であり、大文字の自由があり、創意工夫があり、演技もあり、映画史への目配せも怠らない、それがシネマだとカンバーバッチが言うことはない。
マリー役は『わたしは、ダニエル・ブレイク』の人だった。
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