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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジのsomaddesignのレビュー・感想・評価

4.0
見たそばから全部忘れるくらいでいいじゃない!超浅薄で享楽的な娯楽映画っていいじゃない!

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ジャーナリスト:エディの体に寄生した地球外生命体シンビオートのヴェノム。人間は食べちゃダメとの食欲制限を強いられ、不満はありつつエディとの共同生活を送っていた。ある日、未解決殺人事件の犯人で死刑囚クレタス・キャサディから面会を要求される。図らずもクレタスの死刑執行を後押ししてしまったエディ対し異様な執着を見せるクレタス。突発的にエディの手に噛みついてしまったクレタスは、その血液が普通の人間と異なることに気づく。予期せずシンビオートを体内に取り入れしまったクレタスは、死刑執行のその時、ついにカーネイジへと覚醒する。

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モーションキャプチャーといえばのアンディ・サーキスが、いつの間にか監督デビューしてて驚いた。ハリウッド版「ど根性ガエル」な前作から一転。今作は人間を食べたい猛獣と、平穏に暮らしたい青年の冒険を描いた「うしおととら」をハリウッド映画化した感じ。少年サンデー世代には馴染み深い(主演の他に脚本も担当したトム・ハーディも少年サンデーを毎週読んでたに違いない)。


前作同様、ちょいちょいツッコミつつ見るが吉。(評論家と観客の評価が真逆なのも前作同様なのも興味深い)
とかくダークでシリアスに寄りがちだったアメコミヒーロー映画界にあって、デッドプールとはまた違った意味でバカっぽくて面白い。ヴィラン対ヴィランなのに陰鬱さがなくて、どこまでもご陽気。人の生死が軽いのもいっそ清々しい。80年代のブロックバスター映画見てるみたい。

クレタスの行動がいちいち謎。そもそもエディを呼びつけて独占取材をさせたせいで、自分の悪事がうっかり露見しちゃったわけで。知能犯ぽく振る舞ってるけど、行き当たりばったりで計画性が全然ない。そもそも刑務所から検閲なく血まみれの手紙が送れるなら、自分で勝手に自伝を書いて出版社か新聞社に送りつけても良かったのでわ?(出版されるかどうかは別にして)。 狡猾にエディを操って、意図的な記事を書かせようとしたのかもしれないけど、計画ガバガバでサイコパスってより厨二拗らせおじさんに見える。見ようによっちゃ、あの幼稚で無邪気な動機と行動が猟奇的で怖くもある。とはいえウディ・ハレルソンのご陽気が、クレタスのサイコパスっぽさを打ち消しちゃうのが惜しいやら、面白いやら。
ウディ・ハレルソンの起用は「ナチャラル・ボーン・キラーズ」の流れかしら。ちょうど1994年の映画で劇中の時間経過とも近い。なにしろ何考えてるか分かりづらい事には定評高いウディ・ハレルソン。今作でも陽気なサイコパスっぷりが余す所なく発揮されてて通常運行っぷりが最高!

ことほど左様に、肥大化しすぎたMCUにどこから手をつけていいか分からない人や、ダークナイト三部作以降の暗く重いアメコミ映画が苦手な人向けにいい。手軽にアルコール片手にゲラゲラ笑って、見終わったそばから全部忘れるくらいで丁度いい。ジャンル映画としての「アメコミヒーローもの」を求めてる人にはぴったりの出来で安心。
5点中3点満点のジャンル映画として見た場合、大金を投じてバカ映画に振り切った面白さも加味してこの評価。


追記)
あのポストクレジットの完璧っぷりよ!
あんなもの映画館で見てたら「マジか!?」と興奮するしかない。
「ノーウェイ・ホーム」が楽しみで仕方ない。
一方でマリガン刑事に不穏な変化が見られたけど、それらしいキッカケあったっけ? 何故か高いトコに逃げた挙句にあっさりシュリークに追いつかれて、刺されて目玉潰されそうになったくらいのような🤔

余談)
劇中のライブシーンでも登場したLittle Simz。元々彼女のファンだったトム・ハーディが共演とリクエストしたそう。アンディ・サーキスのインタビューによれば「彼女の曲『Venom』が図らずも前作と非常に関連した内容であり、それでトムが彼女に連絡を取り、その曲がある種のキーとなったんだ」とのこと。劇中でもremix版がライブされ、エンドロールにも流れてた。
原曲の対訳付動画
https://youtu.be/_tAHHsdtjL0
ヴェノムがでかいのか、Little Simzが名前の通り小柄なのか。PVやライブ映像以外の彼女の姿を初めて見たので新鮮。(といっても劇中でもライブしてたけど)


77本目
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