願いが込められたような作品。
同性愛者と子どもと親権が絡む、意外と無かった複雑な物語。
当事者のみでは解決し得ない問題をどうするか。この難問にぶちあたった時、自分の世界や考え方に閉じこもるのではなく、視野をちょっとだけ広げて、周囲を巻き込んだ「社会」に目を向けるのがとても心地よい。
脇を固める役者陣もとても印象深く「人間っていいな」と思わせてくれる。そこでふと気づく。本作には悪人が一人もいないのだ。
印象的だったのが噂好きのおばちゃん。
底意地が悪そうな位置なのに本当は懐が深く、独白に対する一言がものすごく優しい。あのシーンはさすがに涙が出ました。
こんな優しい世の中になって欲しいという願いが込められたような、何だかとても温かみがある作品でした。