ーcoyolyー

hisのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
3.2
主要登場人物全員クソだったなと思う。うっすらとクソなのが本当クソだった。どこから見ても非の打ち所がないクソじゃなくてほんのりうっすらとクソを帯びているクソ。そしてそれは私から見た「普通の人」です。

私が思う「普通の人」は良い人であろうとする人ではなくて良い人と思われたいというだけの人。実際に良い人かどうかは重要ではなくて他者から「良い人」と認定されたいだけの人。コスパ良く「良い人」と思われることだけを追求して真に良い人であろうとする人に泥を被せる人。

作中人物がたまに「良い人」っぽいことをするのは作者のそういう願望の炸裂でしかなくて気味が悪かったですね。若い人こういうの好きなんだろうなとは分かるんだけど、うっすらと漂う媚びやあざとさ、常にこちらの顔をチラチラ伺うキョロ充みがキツくて息苦しくて、それは私が常々普通の人に感じるものやその普通の人がなんだかんだで適応できている社会に感じるもので、作中で「普通じゃない」と言わせてるのがまさしく普通の人の願望・欲望すぎて私は見ていて痛ましいし悲しいしやり場のない感情に襲われた。ゲイとかゲイじゃないとか関係なく全員普通の人なのに。ゲイであるくらいで特別視なんかされないよね、だって人間性としては普通なんだもん。

ちょっとだけ本当に「良い人」が出てくるんだけどその人の扱い方もマジカルニグロやフェアリーテイルゲイそのままのアクセサリーなんですよね、ニグロでもなければゲイでもないけど、主人公と話の展開に都合が良いだけの人。こういう消費の仕方がザ・普通の人ってものを見せつけられて受け付けないところはありました。

でも世の中のマジョリティは普通の人ですしこういう映画が好きな人は普通じゃないと思われたい普通の人だと思うから私の預かり知らぬところで盛り上がってればそれで良いんだと思います。
ーcoyolyー

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