KK

hisのKKのレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
3.6
本日劇場2本目

この前後に、「家族を想うとき」と
「パラサイト」を見たせいでやや物足りなさがあった。
というよりその2つが凄すぎて、邦画のあんまり好きじゃない所がよく見えてしまった。

・結局ハッピーエンド
邦画だけじゃないけど、邦画は多いイメージ。裁判とか、重めの話でも最終的にハッピーエンドで終わる。まぁ、いいんだけど、最近ケン・ローチ監督の作品観たから世の中そんな甘くない、精神があったのかも。「チョコレート・ドーナツ」

・説明しすぎ
余白ってめちゃくちゃ大事なんだなぁって。これまた、ケン・ローチ監督の「家族を想うとき」は、ほとんど状況説明がなかったんだよなー。
「パラサイト」もそうだけど、言葉による説明があんまりないんだ。

表情や行動、仕草から感情を読み取れる作品が好きなんだな

比べるものじゃないけど、やっぱり邦画より洋画の方が、言葉が少ない作品が多い気がする。


内容について
LGBTと子育てについて
『チョコレート・ドーナツ』の時代よりかはLGBTへの理解が少しは広がっているが、まだまだ、何の不安も苦労もなく生きられる世界にはなっていない。

ゲイの家族が「特殊な家庭」なのか、「一般の家庭」なのか。差別とはなんなのか。
裁判の論争点は、ゲイのカップルが子供を育てるにあたり、悪影響を与えるのではないか、という点。

ゲイだからと言って子供を育てる能力がないとは全く思わない。
ストレートの家族でも、子供を育てる能力がないんじゃないかと思う親は沢山いる。

井川迅と日比野渚は子育てという点に置いてはむしろ秀でているとも感じるほどの空への愛情

まあ、子供の前でキスするなど、普通の親でも子供の前では...っていう部分はあるけども。


ゲイのパートナーで子供を育てる上で最も考えなきゃいけなくて、切実な問題は、親の子供を育てる能力というより、
親がゲイということによる周り大人や同じ学校で過ごす同年代の子供たちの環境だと思う。

作中の村のように、村のみんなが優しく理解してくれる環境ならばなんの問題もない。
だけど、実際問題として、そんな環境は多くはない。
いくら、世の中がLGBTについての知識と理解が広がってきたと言えども、故意か無意識かは知らないが、それを理解しようとしない、それを噂にして傷つける人間はいなくなることはない。
そしてその雰囲気や態度は、子供たちにも伝わり、親が見えない学校で、その子を傷つける刃となる。

そして、子供が成長し、思春期になった時になった時に、子供が理解して向き合えていればいいが、それでも逃げ場と、ちゃんと教育できる大人が必要だと思う。

子供の時にどんなに優しくて家族思いでも、何がきっかけで傷つき、バラバラになってしまうかは誰にも分からない。
ストレートの家庭の子供と、全く同じように、なんの考慮もなく育てるというのはそれはそれで、差別ではなく難しいものがあると思う。

LGBT、まあ、それだけじゃなくて、全ての人間の「個性」を理解する教育と、今の大人がそれを無にする態度や言葉を出さないことが、差別を無くすためには必要だと思う。
今まで生きてきて、それは不可能な気もするが.....
KK

KK