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フリードキン・アンカットののんchanのレビュー・感想・評価

フリードキン・アンカット(2018年製作の映画)
4.1
亡くなってから意識するなんて、如何にもな俄かだけど💦でも追悼の気持ちで興味を持って作品を観るのであれば、天国でもブラックコーヒー☕️(フリードキンはかなりコーヒー好き)飲みながら、にこやかな笑顔で許してくれそう☺️

監督のゴージャスな自宅に訪れてのインタビュー映像と、多くの有名監督、俳優らがフリードキンを語っている、宝物のようなドキュメンタリー✨

語り口はハッキリと、言いたいことをスパッと言い切る。生き様に自信が無ければ言えないだろう。
ただ、ワンマンという感じではなく、関係者からも愛されていた様子を沢山窺い知れた。

インタビューで語っている人
フランシス・フォード・コッポラ/クエンティン・タランティーノ/フィリップ・カウフマン(高校の同級生)/ウォルター・ヒル/ウェス・アンダーソン/エドガー・ライト/ウィリアム・ピーターセン/ウィレム・デフォー/エレン・バースティン/マシュー・マコノヒー/デイミアン・チャゼル/ジュノー・テンプル


両親はウクライナ🇺🇦からの移民でシカゴに暮らした。
父親は働き者、休みの日は一緒に遊んでくれた。母から人の悪口を聞いたことがない。たっぷりの愛情に恵まれて育ったと言う。

TVが普及し始めた頃、テレビ局で簡単な仕事を始め、その後制作の仕事へ。
21歳で『市民ケーン』を観たのが映画監督になりたいと思ったキッカケだった。
映画学校を出たわけではなく、現場で仕事を覚えていった。

その後、あるパーティで神父と話したのがキッカケとなり、無実の罪で獄中にいる1人の黒人男性のドキュメンタリーを制作。
コッポラはその作品『人民対ポール・クランプ』を紹介している。
その映画のお陰で死刑執行を免れている。あ〜観たい❗️

『フレンチコネクション』のカーチェイスは全て本物とNY市警殺人課刑事が言う。
カメラマンが妻帯者と気を遣ったのか知らないが、ビル・ヒックマンの運転する車にフリードキン自ら乗り込んで撮影した。


「リハーサルはしない。リハーサルは臆病者と馬鹿のためのもの。私は1テイク派(ないしは2テイク)」

「俳優も監督もどちらも職業なんだ、仕事なんだ。芸術家なんて抜かすバカがいるけどイカれてる。
だがフェリーニ、アントニオーニ、クルーゾーは芸術家だ。それとフリッツ・ラング、チャップリン、バスターキートンも、あとは一握りの俳優だけ」


誰よりも多くの言葉で興奮して語ったのはタランティーノかも知れない。「母はどんな映画も観せてくれたが『エクソシスト』だけはダメと言われた(笑)『恐怖の報酬』は最高の1本❗️」

「88歳のフリッツ・ラングが存命だと何かで読んで電話番号を調べ、連絡が欲しいと伝言したら数日後、本人から電話があったんだ「誰だ?君がフライドチキンか?(笑)要件は?」そこからインタビューを受けてもらうことが出来た。ドイツで撮った作品は全部ダメだと言っていたね。『メトロポリス』も『M』も編集で変えられていて気に入らないらしい」

今の監督なら、キャスリン・ビグローとデイミアン・チャゼルが良いと推している。


◎今後観てみたいと思った作品
『クルージング』
アル・パチーノが主演したゲイ社会の話。
またタランティーノが熱弁していて、あまり評判はよろしくなかったものの、タランティーノは理解を深めて欲しくNYで上映会を開催している。

『L.A.大捜査線/狼たちの街』
バディものサスペンス。
ウィレム・デフォーがこの作品で見出されます。
デフォーは「ウィリアムの応援団長だ、大好きだよ、多くのものを与えてくれた」その後も笑い話を教えてくれていた。
ダブル主演のウィリアム・ピーターセンは
「ウィリアムは僕が知る人の中で最も賢い人。世界一僕を笑わせられる人。勇敢で芯が強くて、度胸も半端ない」この言葉がフリードキンをよく表していると思った。

また後期にはオペラの演出・監督もしている。

何かの上映会の時に「雨に唄えば」を1コーラス生歌披露していたり、チャーミングな一面も。

そして日本の浮世絵コレクションも見せてくれている。

「映画のコンペティション(競争)なんて信じない。コンペなんて悪い冗談。宣伝のために使われているだけ。勝ち負けを決めて映画に優劣をつけるとは...評価なんて主観に過ぎない。審査員を名乗ってふんぞり返るバカどもにあれこれ言われたくない。審査員は全員クソ食らえだ」ご尤も👏

エンドロールには愛妻家の一面
「妻シェリー(元パラマウント・ピクチャーズの最高経営責任者)とは26年連れ添っているが、友情と思いやり、そして愛のある素晴らしい女性、母親もそうだったが、受けるより与える。誰にでも全てを」と褒めている。
そんな優しい奥様が晩年、傍にいらして幸せだったことでしょう💗


ドキュメンタリーはその方を讃える為のものかも知れないが、一面を垣間見られて心から良かった。観れる作品はみんな観てみたい😆
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