TaiRa

KCIA 南山の部長たちのTaiRaのレビュー・感想・評価

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)
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内容は東映ヤクザ映画で、ルックはコッポラやベルトルッチ。そんでもって切ないBLでもあった。

朴正煕大統領暗殺事件の裏側を創作した政治サスペンス劇。というより正ヒロイン=パク大統領を巡ってキム部長と警護室長がバチバチやったりする二次創作BLに見えた。結果として東映ヤクザ映画と同じ領域に入ってしまうというね。安藤昇組長を巡って文太と松方が競い合う一方で梅宮が悲惨な目に遭う、みたいなもの。ただそれを『ゴッドファーザー』とか『暗殺の森』のイメージでやるから暑苦しくはない。大統領に対するキム部長のスタンスは、「私がいれば彼は変われる」マインドから抜け出せない末期彼女のそれ。ズルズル事態が悪化する様が大変切ない。それはともかく、友人同士がいつの間にか離れ離れになってしまった現状を自覚して、何でこんな事になっちゃったんだろうね、としみじみしてる感じが良い。「あの頃」から随分と遠くへ来てしまった男たち。キム部長が決心するに至るまでの一連の追い込み方も切ない。好きだったあの人が、もう完全に別人になってしまったと突き付けられるショック。涙の代わりに雨粒ポタポタ。共感ゼロになっても不思議じゃない独裁者と謀反人のドラマに、俗っぽい親近感を持たせたバランスは正解だと思う。
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