うみぼうず

シン・ウルトラマンのうみぼうずのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
2.5
公開日にあまり期待せず観に行ったら、それすら下回る期待外れだった…残念。
樋口真嗣監督の単独監督作品はやはり合わないな…。

ウルトラマン大好きで子どもの頃の写真は ほとんどがウルトラマンポーズ。ウルトラマンは実在するとずっと思っていて、ある日ウルトラマン放映の翌日に「そういえばどのTV局でもウルトラマンが怪獣倒したっていうニュースやらないな…?」と思い、実在しないことを知った6歳の夏。
それぐらい思い入れは深いだけに残念。

往年のウルトラマンファンも多いようで、レイトショーながらほぼ満席。当時のウルトラマンの音楽や技、演出など入れてくれていて喜ばしいのかもしれない。だけど現代で映像化するなら矜恃は持って欲しい。「ほら、昔の演出そのままだよ!いいでしょ!」と言われているような感覚に陥る。オリジナルリスペクトではなく、ただの手抜き。

ウルトラマンのCGもなんとも言えないなぁ。これが邦画のCGの限界か。悪くはないけど良くはない。もったりした動きで異物感がすごい。ウルトラマンがビルを蹴ってる姿は動きの違和感も相まってシュール過ぎて苦笑…。

ラスト付近はアレをそう使うか!と一瞬感動したが、どこかで見たなとすぐ思い直すと直近の『エターナルズ』のような展開だなと。一方エターナルズほどのスケール感はなくしりつぼみ。

随所に不要なシーンやセリフが多く、正直あのチームメンバーは ほとんど不要では。キャラが生きておらずそのセリフその展開のために用意された人物たちで魅力がない。
「人間」にフォーカスするならもっと個々のキャラクターの深堀をすべきで、やりたいことは分かるが上滑りしていて深みがない。
人類がウルトラマン頼みからどう脱却するのか期待していたが、想像以下の展開となる。人類の存在意義とは…。
長澤まさみさんのあの展開も意味がよく分からない…。だいぶセクハラ気味では。

原点回帰しつつ現代の価値観を入れるなら、ウルトラマンになる経緯や怪獣との戦闘による被害への苦悩、また人類との交流や理解を深めるなどの単純ながら普遍的な内容で十分満足できたのに…。

良かったのは外星人たち(ウルトラマン含む)。特に山本耕史さんはよかった。鑑賞後に一番印象に残っているのは「私の好きな言葉です」。斎藤工さんもそうだし、人間味のなさが非常にいい味を出していて、人間味ない人たちが人間的なコミュニケーションや人間的な振る舞いをしている点は非常によかった。

どうしても『シン・ゴジラ』を意識せざるを得ないのは分かるが、それにしても頼りすぎでは。「シン・○○」というのが増えていて、二番煎じ三番煎じでしかなく、本作もその一本の域を出ない。「シン・○○」でよかったなと言えるのはあ『シン・ニホン』(安宅さん著作)だけだなと。

テレビの番宣で演者がカメラを持って撮影する斬新な技法!などと宣伝していたが効果はあまりなく。むしろ無駄な余白が画面に多く、無駄に画面が切り替わるので集中できないという悪影響しかない。

好きだからこそ大変ガッカリ…。批判的な評価で申し訳ないですが、樋口監督作品は期待しちゃダメだと再認識。

予告で「シン・仮面ライダー」もやっていたが、こちらも期待してはいけないと思う…。
映画館にいる中で一番良かったのは「ククルス・ドアンの島」の予告で、これはけっこう面白そう。観に行く予定なかったけど行こうと思いました。
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