ナミモト

シン・ウルトラマンのナミモトのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.9
最高でした…
ウルトラマンの一瞥に、惚れそう笑

ストーリーが進むにつれて、マルチバースな宇宙視点へと拡がっていく感覚、人間中心の考えがいかに小さく愚かしく、それでも、人間には叡智と勇気と他者への思いやりとがある事の素晴らしさと、人間が人間らしくあり、この地球とともにあり続けるために、何を守らなければならないのかを…、まさに、ウルトラマンの原点回帰ですね。

成田亨の描きたかった、弥勒菩薩のように端麗で美しいウルトラマン、堪能しました…!禍威獣も、良い!

さて、
外星人として地球を監視していたウルトラマンが、自分より弱い者をその身を挺してまで守ろうとする行動原理を理解したいと、人間と融合したことが、同じ光の星からきたゾーフィからは、その自己犠牲の精神が生物兵器に利用されうると捉えられる為、人間は駆逐すべきだと解される。人間を守る光の星からの来訪者たちは、同時に人間を虐殺し得る存在でもある。
また、人間という生物自体も、他の星での巨大生物兵器となり得る可能性。つまり、禍威獣≒人間でありうる事。
秩序としてのウルトラマンと、混沌の禍威獣は、対極図のように、入り乱れ、単純に二つに分かれない。「シン・ウルトラマン」のタイトルの背景が、マーブル紋様で、ぐにゃりと歪むのは、まさに、こうした不可分な状態のイメージと思います。

スーツアクターが演じる為、人間の形から離れすぎた形態の実現は難しかったという制約はあるとしても、
成田亨が考案した、様々なスタイルの怪獣たちは、動植物の形態的要素を変形したものですが、それが基本は四足を持ち、中でも二本足で立つ姿勢を持つものが多く、それが人の形に準じていることを考慮すれば、怪獣≒人間であることが、示唆されているようにも感じます。
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