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シン・ウルトラマンのhoshのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.3
画面は現代の映画の画質で、よく知っている役者陣が映っていて、タッチは『シン・ゴジラ』なのに、倫理観とBGM、ノリは昭和特撮のそれ。という非常に変わった映画だった。
ただ、「この何を見せられているんだ?」という奇妙な感覚を現代の観客に与えることが狙いだったならそれはとても上手くいっていたと思う。

題材から分かってはいたけど、ゴジラに比べるとかなりノスタルジーに寄った閉じた、オタクオタクした作品になっているのでそこを愛せるかどうかで感想も変わってきそうかなと。
自分は首を捻りたくなる部分はめちゃくちゃ多いものの、(特に女性描写は酷いってレベルじゃない) 公開されるまでの期間と本編を見ている間のワクワク感は至福だったのでとても満足。とにかく楽しかった。

ただ、正直「シン」シリーズはノスタルジーを保ちつつ自分のような平成特撮世代やさらに下の世代にレジェンドの衝撃を新解釈して、「焼き直しではない新しいクラシック」として楽しませてくれる作品群だと思っていたし、そこに期待していた。
が、2作目にして思ったよりも初代リアタイ世代を狙い撃ちにする作品になっていたのでそこは残念だったな。スパイダーマンNHWの時も感じたけど近年のエンタメに顕著な「長年のファン(昔生まれた人)ほど得する構造」は窮屈だと思う。

ゴジラに対して非常にシビアだったからこそ構築美すら感じる新しさを湛えた『シン・ゴジラ』と愛とロマンがありすぎて新鮮味はないが独特の味わいと楽しさをもつ今作。作品への距離感って作り手も観客も難しいなと改めて感じた。

1番良かったのはOP。自分は『シン・ゴジラ』をオールタイムベストに挙げるほど好きで、同じようなタッチを求めていたのだけど、配給マーク直後のあの演出からの冒頭3分で「ああ、これはノリで楽しむタイプの娯楽SFだ」と作品世界に全力で身を委ねることが出来た。
オマージュの仕方としても素晴らしいし、あの思い切った割り切りは間違いなく今作とその制作陣しか出来ないので大興奮だったな。近年稀に見る史上最高の出だしだと思う。

役者陣はみんなハマっていたけどやっぱり斎藤工の発声と山本耕史の胡散臭さ、西島秀俊と田中哲司の仕事人感が素晴らしかった。ただ正直、高橋一生、市川実日子、高良健吾らのクレバーな演技トーンが恋しくなったのも事実かな…

最後に、米津玄師の主題歌がめっちゃ良かった。作り手と「今」の観客の距離感を上手く接着してくれる架け橋たりえていた。ここで「ウルトラマンのうた」を流していたらオジサン接待の二次創作映画感がもっと増していたと思う。

とはいえほんとに楽しい映画なのは間違いない。久しぶりに大画面でウルトラマンや怪獣を見て心底感動したので。今度はニュージェネのエース、田口清隆監督の大作が見たいなあ。


5.28 池袋 HUMAX で2回目鑑賞。

日常の延長線上に超SF空間があるかも?と思わせてくれるメフィラスの公園、居酒屋での交流がやはり良かった。鷺巣劇伴も良い。
あと、ウルトラマン登場!のロマンを1番感じるのはvsザラブ星人の飛行シーンっすね。燃えたし、血が滾った。
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