過去のウルトラマンのテーマを踏襲しつつ、庵野秀明による独自の見解を中心に踏み込んだ意欲作。ただし「一見さんお断り」の大変偏った作品です。
まず映像作品として、技術を駆使しながらも当時にざらついたレトロ感を残すクオリティの高さは必見です。同時にウルトラマンの得体の知れない存在感を表現するに余りある無機質でエレガントな流線美にはうっとりしてしまいます。また序盤から惜しみなくスペシウム光線をギイイイイー！と放射するなど、荷電粒子砲マニアとしての変態っぷりも期待を裏切りません。
もちろん庵野作品には欠かせない禍威獣（怪獣）たちの造形美も素晴らしく、特に「天体制圧用最終兵器」として「使徒」にされてしまったゼットンの姿には神々しさすら感じます。
ストーリー自体は展開が余りに早く、オリジナル作品を「見たことがある」程度の初心者にはとても難解です。ただ巨大生物から人類を守るのではなく、対話を通じて地球征服を目論む知的生命体との攻防はシンプルに楽しめます。全体的には長澤まさみ依存作品ではあるものの、斎藤工と山本耕史の不気味なヒューメリアン感も見所です。
最終的にどこを切り取っても庵野秀明による二次創作であり、前述の通り「シン・ゴジラ」よりも遥かに「一見さんお断り」指数は増しています。
総評として「おもしろかったけどよくわからなかった」の一言。良くも悪くも可視化された変態老人の妄想です。
