くじら

シン・ウルトラマンのくじらのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

 CMのM八七が耳から離れなかったので観に行った。ウルトラマンは子どもの頃に兄と一緒に再放送を見てた(一応世代としてはティガ)けど、あまり詳細は覚えてなかった。詳細は覚えてなくても私が観たウルトラマンと違うところと、この絵を撮りたかったんかなってところは何箇所かあった。ウルトラマンを知らなくて観ても何とかなるけど、全てが畳み掛けるようにギチギチに構成されていた印象。

あらすじ
 日本で突如現れたかいじゅうたちに対しカトクタイの4人が対処するようになってしばらく経ったところ。透明になり電気を食べるかいじゅうネロンガに対処出来ないでいた。カトクタイの神永が逃げ遅れた子どもを飛来した何かによる衝撃から身を挺してかばう。飛来したのは60mくらいの人型の知性を感じる巨人で、かいじゅうを光線で倒す。
 巨人について分析官の浅見が加わり、元の部署が公安で似ている神永とバディを組む。浅見は巨人をウルトラマンと名づける。その後出てきたかいじゅうガボラをウルトラマンが倒し死体とともに何処かへ。ウルトラマンはアイコンタクトをし、また人間が被曝しないよう放射線を浴び、死体も始末に困らないように対処したようだった。そして秘匿していたウルトラマンの存在が動画によって流出。
 その後電磁波などを操る高度な知性と技術を持ったザラブが現れ日本と条約を締結。ウルトラマンを利用して世界各国を戦わせて滅ぼそうとしていた。ザラブに人の姿で捕まり拘束された神永。ザラブはウルトラマンの姿で横須賀基地を破壊。ウルトラマンの正体が神永だと分かる動画が流出。神永は浅見の鞄に変身に必要な装置を託し、浅見は神永を救いに行く。浅見は神永に外星人なのか地球人なのか問い、どちらもだと答える神永。ウルトラマンはウルトラマンを装い街で暴れていたザラブを倒して姿を消す。浅見もまた姿をくらませた。
 姿をくらませていた浅見が突如巨大化して街に出現。それは地球の文化に慣れた外星人メフィラスの行ったテストだった。人類に友好的に見えたメフィラスだが、人間を巨大にして、それでも宇宙からの脅威には敵わないという無力感と絶望を味わわせ従順にしつつ、人類を兵器転用する資源にしようと企んでいた。メフィラスはそのために邪魔となる神永に話をするも、人間を守りたい神永とは決別。神永はカトクタイの仲間にメフィラスの真の目的を話し、匂いからメフィラスのもたらす装置を追って奪い、カトクタイに委ねる。ウルトラマン姿を表し巨大化したメフィラスと戦闘になる。しかしメフィラスはゾーフィを見て戦いをやめて去る。
 ゾーフィは兵器となりうる人類を殲滅するためにゼットンを送る。ウルトラマンは人類の、仲間たちの可能性に希望を託す。滝はウルトラマンに託された情報を元に各国の研究者とともに数式を割り出しゼットンの熱球のエネルギーをウルトラマンが返信する時の原理を用いて転送する。巻き込まれたウルトラマンをゾーフィが見つけ出す。ウルトラマンは自分の命を神永に渡して彼を地球に戻すように伝える。

感想
 すごくギチギチだった…。元ネタがあるものも知識がないのでよく分からなかった。政治的駆け引きと科学的知識がみっちりしてるのはシン・ゴジラと同様。かいじゅうのデザインにも庵野さんらしさが出ていた。特撮技術の懐かしさも見れてよかった。個人的に兄がゼットンが大好きだったので、ゼットンがこういう解釈になるのか…と驚いた。外星人の出し方も構成に無駄を挟まず一気に畳み掛けてくるなという印象だった。(庵野さんは政治と公安の話を撮っても緻密な作品を作りそうだなとは思うし、たぶん台詞ほとんど聞き取れなさそう)
 
 ウルトラマンがこんなにも人類を見守って生きてたとは…。人類の無力感と絶望、そして生きるための希望と足掻きの描写が緻密で丁寧な構成だと思った。

 浅見さんが神永さんを救出するシーンが好き。2人の関係の積み重ね方が良かった。あと匂いのシーンは、描きたいものや元ネタがあるのは察しているけど、コミカルなシーンを浅見さんが恥ずかしい目に遭っている所で消費されてるのは気になった。(セクハラと言われてるのも、話の流れとしては問題なくても、製作側の姿勢?がセクハラ目線が出てるように感じられてもおかしくない)
くじら

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