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シン・ウルトラマンのRUNPENのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
2.0
延期になる前の予告編が1番面白かった。

暴れる怪獣達にシンゴジラの時のような対策部所が健闘し、いよいよのピンチに現れる謎の巨人!!ワクワク!
って感じがとても良かった。予告編は。
オリジナルのタイトルに流れる音をアレンジした音楽もカッコよかった。予告編は。

しかしいよいよ公開された本編はオタクのためにオタクが作ったオタクが喜ぶためだけのウルトラマントリビアモリモリ総集編のような、知ってる人は面白いでしょ!的な、観る人のウルトラ濃度によって意見が別れるモノだった。
残念すぎた。
もちろんそういうモノを求めてる人がいて絶賛するのは良いのだけれど。





以下ネタバレアリ
の長文であります




オリジナルのウルトラマンのエピソードを集めてこねくり回した脚本自体は、そんなに悪くない、とは思う。
スーツではなくCGで描かれたウルトラマンもカッコいいか?と問われるならとてもカッコいいのだが。
序盤での怪獣達が暴れる特撮的絵面と、突如現れる銀色の巨人!
スペシウム光線もう出すの?!
ってな感じで、いきなりウルトラマンな盛り上がりが序盤から開始されて驚いて面白かったけど、結果ホントにここがピークだった。



禍特対、有能?無能?問題

禍特対の活躍で自衛隊と連携して、どうやらカイゲル、パゴスは駆除に成功したようなのだが、劇中第1戦目である対ネロンガ戦でのあの空々しさはなんだ?
これから自衛隊は我々の指揮下に入る!っつって禍特対隊長は言うんだが、明らかに歓迎されてない雰囲気出てない?アレ何かの皮肉?
やってる事もパソコン開いてあれこれしゃべってるだけで、どうにも禍特対が何のために前線まで来てるのかわかんない。
オリジナルの科特隊のようなスーパーウエポンやメカが無いのならあくまで協力体制で自衛隊ともっと連携するべきだと思うんだが。

取り残された民間人を救いに行くのに、特務隊員である禍特対の1人、主人公「神永」が単独行動するのも解せない。
彼が行くとしても、そこは自衛隊員も同行しないか?自衛隊と仲悪いのか?

と、まぁ序盤からさまざまな疑問が浮かんでなんだか中途半端にリアル風だなぁと。
結局、劇中はさしたる活躍もせず終始ウルトラマンを見守るだけだった禍特対。
どちらかといえば無能集団に見えるんですが。

禍特対を攻性の組織にしなかったのは映画制作の予算の問題もあるのかもしれないが、それならば日本の武力組織である自衛隊との連携をもっと上手く描いて欲しかった。
アレじゃ単なるお役所仕事的な現場に来て偉そうにするだけの集団に見える。
そもそもなんでスーツなの?科特隊の制服とまでは言わないが、現場に来るならせめて作業服でしょ。絶対汚れるんだし、動き回るんだし。あとヘルメットかぶろう、危ない。

メフィラス星人に巨人化動画を削除してもらって「よっしゃー」とか言ってる場合じゃないよ!問題

有能なんだけどはっちゃけた性格の長澤まさみに博識なんだけどストレスたまるとお菓子をバリバリ食うあかりんっていうキャラクターの面白味、キャラ付けってのはアリだとは思うけども有能を印象づけるシーンが無さすぎて、どうにもやっぱり無能集団に見える。つまらないアニメのキャラクターの薄っぺらさ的な感じ。
他の隊員、隊長もその上の室長も何にもしてなくない?いつも状況を見守るだけだった印象で誰も特に活躍しない。
ゼットン戦で滝隊員が頑張るけれどもVRゴーグルつけてリモート会議という、これも予算の都合なのかなぁ。しかも自虐ネタみたいな扱いで切なくなった。


怪獣が禍威獣になった問題

これ変える必要あったんですかね?
怪しい獣の怪獣でええやん。
てかネロンガ、ガボラ以降は禍威獣が出てこない。なのでウルトラマンが全然闘わない。
あとは外星人という名の宇宙人がメインの敵となる。この変更もよくわからん。宇宙人でいいだろ。宇宙の人なんだから。

確かにウルトラマンの面白さは怪獣が出てきて暴れて退治するってだけの単純なモノではないので外星人がメインでもいいのだが。それにしても禍威獣が外星人の生物兵器だなんて1番しょうもない設定にはゲンナリした。それがパゴスとネロンガ、ガボラだけの設定だとしても。
どうやらオリジナルの着ぐるみが流用されている事へのオタクへの目配せ的な設定で、知ってる人は面白いでしょ!なオタク的発想のようだが。
そんなトリビアどうでもいいよ!

なんだか基本的に怪獣に対する愛がない気がする。

ザラブ星人とメフィラス星人もね、ニセウルトラマンと巨大隊員を出したいだけの人選に思えてなんだかなえる。有名だけどそういう目立つエピソードがないバルタン星人は無視ですか。そうですか。
そして途中で「あぁ、こりゃ最後ゼットンも出るな」と気がついたのだが、ゼットンの扱いはなんだありゃ!!

ゾフィがゾーフィになってゼットンを使って地球を攻めるとかオタクの情報ネタもういいって!!
しかもなんだあのゼットンのデザインは!!もう怪獣でもなんでもないメカメカしさ。
兵器って言っちゃってるもんな!ゾーフィが!!(また出ました怪獣が兵器という1番しょうもない設定)
メフィラス星人のエヴァぶりもどうかと思うんだがゼットンの使徒ぶりは苦笑でしかない。なんだよアレ。
ゼ〜ット〜ンって言わしときゃいいとでも思ってんのか。ナメてんのか。

ゼットンは最強の宇宙恐竜なんですけど。
オリジナルデザインの方が100倍カッコいいよ。
あ、でもザラブ星人のペラペラ具合はオモシロかった。よかったと思う。

ウルトラマンのデザインは成田亨氏のカラータイマーの無い元デザインにこだわったりするのに、怪獣や星人に対しては好き勝手に改変すんのね。よくわかんねーや。
怪獣達にはあまり興味がないんですかね。

ゾフィーもねぇ、アレ胸の点々が無いのもなんなの?そういう昔のデザインがあるの?メフィラス戦でチラッと映った時、新マンかと思ったよ。
モヤモヤ空間でウルトラマンに長々と話してるシーンも特に動きもないので山ちゃんがしゃべってるだけのゲームのムービーシーンみたいで眠くなったよ。
そんなに人間が好きになったのかウルトラマン…てかまずなんでそんなに好きになったのかよくわかんないよ?なんで?
言うほど人間と関わってないよね?
長澤まさみとバディ感なんてあった??
総集編だから?その過程飛ばした?


おかしなアングル問題

シンウルトラマンでめちゃくちゃ多用されてるパソコン、椅子、などがアップになって画面のはしっこに人物が映る不自然なカット、いわゆるウルトラマンにおける実相寺アングルだなんて言われてるけれども、これが全く失敗してる。途中眠くなるくらい。やり過ぎ。
実相寺監督の演出はその物語においてここぞという時に用いられて効果を発揮してるわけで、上っ面だけマネしてもしょうがないのだ。
樋口監督は庵野総監督が気にいるカットを、できるだけ撮ろうとした(なんだそりゃ?)らしいけど、それってどうなの?あんたの目指すシンウルトラマンはどこにあんの?などと思ってしまった。
樋口監督は特撮監督だけに専念して下さい。平成ガメラは大好きです。


結局のところ結論としては、昔ウルトラマンが好きだった人達が、僕の好きだったウルトラマンを僕が好きなように作り変えてみました!どうですか!的なものにしかなってないような気がする。

まぁそれはそれで別にいいんだけど。
途中からパロディを観てる気分になった。

総集編過ぎる構成も映画としては散漫で、いまひとつ盛り上がらなかった。ひとつひとつのエピソードのぶつ切り感。ホントに総集編みたいだった。
怪獣バトルも前半の特撮は良かったのに後半CGばかりの対戦、特にゼットン戦のまるでPS2の様なCGはひどい。小さいウルトラマンがミサイルみたいなのを撃たれてクルクルまわる…

盛り上がんないよアレじゃ。

ウルトラマンがデァッとかヘアッ、シュワッ!って声出さないのも何かこだわりなんだろうけど何でなんだろ?
よくわかんないが世代の壁を感じた。



しかしまぁさんざんもんくを言ったけど、これも新しいウルトラマンシリーズの1つだと思えば決して嫌いにはなれない。
とも思うので面白いか?面白くないか?と言えばオモシロ体験だったのだけど…

嫌いになれないのがなんかくやしい!!
だから点数は2点だ!!このやろう!!




追記
庵野秀明展にて、ずっと気になってた庵野主演「帰ってきたウルトラマン」を鑑賞できた。これがめちゃよかった。

見た目は庵野監督丸出してバカバカしいんだけども、怪獣と対決するアングルやカット、動きがとてもカッコいい。
まぁ自分の求めるウルトラマンの面白さって怪獣によるところが大きいんだなと再確認した。
となるとシンに納得いかないのも仕方ないか。と思ったしだい。
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