うにたべたい

シン・ウルトラマンのうにたべたいのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.3
突如謎の巨大生物が出現。
「禍威獣(カイジュウ)」と命名されたそれらに対応するため、日本政府は防災庁に禍威獣特設対策室、略称:禍特対(カトクタイ)を配備した
ゴメス、マンモスフラワー、ペギラなどと名付けられた禍威獣を退けた禍特対だったが、7号となる禍威獣ネロンガが出現すると、その驚異の前になすすべがなかった。
そんな折、禍特対の目の前に現れたのは、銀色に輝く巨人の姿だった。
「ウルトラマン」と仮称されたその巨人は、ネロンガを破壊すると空高く消え去ってゆく。
果たして彼は何者なのか!敵か、味方か!?

昭和41年お茶の間を賑わせた円谷プロの特撮シリーズ「ウルトラマン」を、庵野秀明・脚本、樋口真嗣・監督の元令和4年の現代社会にリブートさせた作品です。
ウルトラマンの昭和シリーズは何年も前になりますが全作品視聴済みで、幼少期には怪獣博士と呼ばれたこともある私ですが、久しぶりにウルトラマンを視聴しました。
庵野秀明氏は、DAICON FILM時代やそれ以前にもウルトラマンを自主制作しているくらいウルトラマンファンなのは知っていたので不安はなかったですが、想像以上にオマージュにあふれている、ウルトラマンファンに向けた作品になっていると思いました。
序盤、カトクタイによって退治されるカイジュウがゴメス、マンモスフラワー、ペギラの時点でそうつなげて来たか!と大興奮です。
続けて現れるラルゲユウスは倒されずに行方知らずになります。
元ネタを知っているのでホッとしましたが、知らない方が見るとなにかの伏線ではと勘違いされそうですね。
その後の展開もかつてのウルトラマンで見た展開だったので、懐かしさを通り越して笑えてきました。
あるカイジュウの首から下が同じなことに疑問を持つ場面があり、謎の嬉しさがこみ上げてきます。
ウルトラマンファンとしては、非常に楽しめる作品でした。

ただ、ファン以外が楽しめるかは不安なところがあります。
シン・ゴジラでは、ゴジラ一体の登場に日本は大混乱となっていましたが、それに比較すると、次々にカイジュウが現れるという状況の割には呑気に感じるかもしれません。
尺の都合もあってか、カイジュウ一体に対する対応もスピーディーで、原作を知らないと"なんか変な映画"という印象を持つ可能性があります。
ゴジラの場合、そもそも作品によって解釈が違う個体なので、一気に新設定で出ることができましたが、ウルトラマンは脚本がファンということもあり壊すことができなかったのだろうなと思いました。
個人的には大満足ですが、賛否が出るのも頷けます。

また、映画自体は良かったのですが、個人的にはカイジュウデザインは酷い改悪だと思います。
成田亨氏の超絶素晴らしいガボラの顔が、メカニカルなデザインに変更されていて、ラストのカイジュウももはやカイジュウではなく使徒に近い感じを受けました。
ウルトラマンはデザインを含め良く、ネロンガなどのカイジュウはそれほどおかしい感じはなかったですが、一部のカイジュウのデザイン変更は酷いと感じました。

不満点もありますが、基本的にはウルトラマン愛の込められた、良作だと思います。
ファン以外も、本作をきっかけに初代ウルトラマンも併せておすすめします。