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1917 命をかけた伝令のNOBUのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
3.8
サムメンデス監督の力作で挑戦的な作品で、全編1カット風でジョージ・マッケイ扮するウィルを追い続け二時間途絶えることなく観客をハラハラとさせる。

ともかくも1カット撮影はミニシアター系の作品では行われて来ているが、戦争モノで且つ大規模な作品ではなかなか難しく、ハリウッドも躊躇う事をメンデス監督はやりきっている。実際には全編をフルで1カットで撮影したわけではなく、その辺のトリックはなかなか見抜くことはできないが、1カットの強みをフルに生かした構成がまた素晴らしい。

映画はカットの芸術とも言われて来たが、昨今、小型ドローンなど新しい技術が生まれ、映画の表現の可能性も拡大に広がり、カットの組み合わせだけが表現方法ではない新たな可能性をメンデス監督は具体化させたのではないだろうか。

しかし、これも一日の出来事としての描写を表現できるが故の技術で、映画全体としてはやはり特殊ではあるように思う。
実際、カットを割ればもっと感情を引き出せたであろうシーンもあるし、面白くできたかもしれないが、この作品のコンセプトが1カット撮影であったので、その中で描ける事を最大限に表現したのはすごいとしか言いようがない。

撮影監督のロジャー・アレクサンダー・ディーキンスは大変意義のある仕事をしたのではないだろうか。そしてこの映像に緊迫感を添えたのが音楽であり音響であり、実際、編集も1カット風に表現させるために相当手が込んでいるはずであるが、その技術的な面はなかなか観ていて見抜くことも難しい。

ストーリーは指令を受けた二人の兵士が敵陣地をすり抜け目的地まで向かうというモノだが、その中での葛藤や出会いもまたこの映画の醍醐味である。
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