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1917 命をかけた伝令のtsubasaのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.3
『走れ、メロスを彷彿と』

欧米で公開されるや否や大絶賛され、映画賞レースを席巻した名匠サム・メンデス監督最新作。
第77回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、監督賞をW受賞!第73回英国アカデミー賞(BAFTA)でも作品賞など最多7冠に輝き、第92回アカデミー賞では作品賞など10部門にノミネート、撮影賞、視覚効果賞、録音賞の3部門で受賞。

ドキュメンタリータッチという常套手段はあえて避けて、映画的な手法をもって2時間弱で描き切る。草原、廃墟と化した街、河川、塹壕……ほぼ一人称ともいえるカメラの視点はずらさず、背景を巧みに変えて時間経過を魅せる見事な手法は拍手。

全編ワンカットと謳いながら微妙なカットがあったものの2時間の鑑賞時間の中で、若き伝令兵と1日寄り添い、戦場での過酷なミッションに帯同するかのような『異次元の映画体験』は必見。グロさや派手な演出、耳を塞ぎたくなるような断末魔、それら戦争の代名詞を削ぎ落としても、戦争の極限状態や、不条理さ、家族の大切さを伝えられるのだから素晴らしい。

主人公たちが駆け抜ける土地の色彩からインスピレーションをもらったという音楽は、ドラマに奥行きと豊かさを与えてる。
他のレビューや解説サイトを観ても色々な要素でこれでもかと言わんばかりの段取りや細かな調整が行われている事が知れた。それはこの作品に携わった人達の作品への想いを感じれて観終わった後でより一層好きな作品に。(走れメロスに通ずるものあるなって思ったのは俺だけかな?笑)

所詮『彼ら』は1つの任務を終えただけで、戦争は終焉して無いのが、何とももどかしいエンド。
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