全編疑似ワンカットのWWⅠの戦争映画としか知らぬまま、何故かダニー・ボイルだと思いこんでたら最後にサム・メンデスって出てきて驚きつつも納得したくらい何も知らず、話題性だけだろって期待せずに見たらめちゃくちゃ良かった。「え、めっちゃいいじゃん」「ワンカットすご！」「ワンカットにした意図がちゃんとある！」と嬉しい驚きだらけで大満足。マジで下調べせずに見たから将校陣が大御所俳優ばっかりで、次は誰だ？となる楽しさもあった笑。
時の経過も上手くて、目的地に着くまで8時間くらいかかる前提なのにワンカットでどうすんだろと危惧していたらブラックアウトで処理してて唸った。夜明けもいつの間にやらといった感じで鮮やかに経過させて凄かった。
ワンカットながらも様々な場面があって全く飽きない。単純に画面の強さや魅力も凄いし、伝令を届けるってドラマだけで戦争の悲惨さを色んな角度から見せてるのも秀逸。当然のごとく腐ちている死体や壊れた武器などが無人地帯に散らばっている情景は、真っ昼間なのに静かすぎる雰囲気とコントラストになっていて映ってるだけでゾクッとする。
カメラどうなってるの？という技術的な関心もありながら、途中ワンカット映画ということを忘れるくらい没頭させられたり、計算されつくされた撮影の凄さと、もう過ぎ去ってしまうのかともったいなく思うくらい作り込まれた画面構成も素晴らしい。
穏やかだったのが一変、次の瞬間には、みたいなをワンカットでやるから背筋が凍るし、戦争の怖さや非現実感が生生しく出てくるしで意図が機能していて感心した。ラストで最初に戻るってやつもベタなんだけど、ベタでいいよ、お疲れ、お帰りってなった。
「トールキン」でWWⅠのソンムの戦いが出てきたのでそのテンションで見たのもあり、トールキンでは凄惨ながらも美しく物語調で描かれていた情景が実はこんなやべー状態だったと知ってビビった。友の死を語るシーンはどうしても泣いちゃう。なんでこんなことに。。なぜあいつが。。って泣ける。これこそが映画の威力だよなと。
これきっと劇場案件なんだろうなとレビューを見てたらやはりそうだったようでプチ後悔。劇場で見てたら4.5だったと思う。また見たい。
