第一時大戦の象徴である塹壕の中を、延々と歩き続けるオープニングは、あの戦争を追体験させるに十分なインパクトを、観ているこちら側に与えてきます。
画面を目で追うのに必死で、2人の会話が耳に入ってきませんです。
任務の受け取りもそこそこに、立ち止まる暇もなく伝令として出立つする様子もそうですが、前半の展開の速さは、せっかちな現代人に合わせた編集なのでしょうか。
伴走しながらのワンカット長回しも印象的ですが、フランスイギリス両軍とドイツ軍の塹壕の建て付けの違いが印象に残りました。ドイツ軍のそれはコンクリートで固めて土嚢もきれいに積まれていて、律儀なゲルマン気質が表れていて勉強になります。
相方のトムが亡くなるシーン。助けた相手に殺されてしまうという戦争の理不尽さに、今起きていることはなんなんだよっ!という怒り、助けてあげられない無力さ、彼への憐れみ、亡くなった悲しみ、置いていかなくてはならない非情さ、さまざまな感情がないまぜになってしまいます。
戦争と暴力は、絶対にあってはならない。