Tully

1917 命をかけた伝令のTullyのネタバレレビュー・内容・結末

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

圧巻のカメラワーク。予備知識なしに見たら、もしかしたらワンカットと気づかなかったかもしれないと思った。それくらい自然だったので。観ていると、伝令スコフィールドの緊張と恐怖を体感させられてしまう。泥と死体にまみれた戦場が恐ろしい。なのにさすが 「サム・メンデス監督作品」 絵が圧倒的に美しいのだ。時折現れる静かな自然。それだけでなく夜の廃墟での戦闘は恐怖シーンのはずなのに、陶然とするほど美しい。ラスト近く、川を流れるスコフィールドの周りを花弁が舞う場面。まるでオフィリアのようだ、と思ったら川辺に膨らんだ水死体の山が。この描写の対比も凄かった。恐ろしいものと美しいものが共存している様は、寓話的な西洋の名画のようだと思った。音の効果、音楽の使い方も素晴らしい。命令一つで動く軍隊。スコフィールドは重責を果たしたが、また明日には違う命令が下るのだろう。若い兵士たちが死んでいく。この話は戦場全体で見れば一つの挿話にすぎないエピソードだろうが、それだけに彼らの命の重さとその扱いの軽さが痛いほど伝わってくる。
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