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1917 命をかけた伝令のmaのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.2
全てただそうなってしまっただけ、というのがやるせない。

もうこんな地獄は懲り懲りだと思いながらもさらにその先を覗き込みたくなる自分に気付かされてぞっとした。戦争映画を観るときにはいつも「今は戦時中じゃなくて良かった」という意識が頭の後ろの辺りにある。結局映画は作り物だし、娯楽だ。戦争を経験していない私達は娯楽として戦争映画を消費し、戦争は嫌なものだなあなんて呑気に思うくらいしかできない。
でも、”本物”は知ることができずとも映像技術の進歩によって恐怖を追体験し、主人公に感情輸入をしてその不安と恐怖を想像することはできる。世界中の人類全て含め、私達は本物を知る必要は無いわけで、こういう映画を見て戦争やだなぁというフワッとした感想を抱くくらいで丁度良いのだ。

全編通してひたすら居心地の悪さと緊張感を味わったが、それこそがこの映画のすごいところだ。ワンカット風にこだわってたのも没入感を深めるためかな。ラストの戦場を駆け抜けるシーンは圧巻。涙が止まらんかった。怖いからなのか悲しいからなのか…。
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