いわゆる入れ子構造、メタフィクションとも言うべき作品。
本作では、主人公が駆け出しのホラー映画監督で、自身の長編作を撮るために、それを観た者が恐ろしさの余り途中で逃げ出したり心臓麻痺で死亡者まで出たという、今では都市伝説と化している自主制作ホラー映画を探し出す。
その過程で、それを撮った映画監督と出会い、その映画のメイキングを通じて、撮影クルーを襲った惨劇を知り、その映画の全貌が明らかになる。
それらの過程を新たに新作映画として撮った主人公は一躍著名な映画監督として賞賛を受ける。
…という映画が撮られて、それを観客として私たちが観ているという三重構造。
中々に練られ、凝った意欲的作品だと思う。
ただし、それは大元たるそのホラー映画自体が(ストーリー的に面白いとか怖いとか、断片的でもきちんと評価できる)傑作でもない限り、本作品自体の面白さには直結しない。
ただ単純に捻りの効いた作品ですねってだけで終わってしまう。
本作は物語構造に力点を置いた分、そうした小道具が弱かったり、場面毎の特殊効果や演出が粗かったり、個々の人物描写が薄かったり。
更にはそもそも主人公がちょっと異常。故に感情移入を阻むから、むしろ酷い目に遭っちゃえって思ってしまう。
んー、あんまり考え込まない方がいいのかな。
ま、昨今のJホラーに比べれば、余程、一応しっかりとホラー映画を目指してると思われる点で、まだマシな気がする。