TaiRa

マーティン・エデンのTaiRaのレビュー・感想・評価

マーティン・エデン(2019年製作の映画)
-
ジャック・ロンドンの自伝的な小説を、舞台をイタリアに置き換えて映画化したっていう変な企画。

原作は20世紀初頭の話だけど、今回の映画も時代は同じくらいかな。時代モノではあるけど流れる音楽はイタリア歌謡曲みたいなのばっかで面白かった。初等教育も満足に受けて来なかった水夫のマーティンが上流階級の女の子に惚れて独学で教養を身に着けようとする。身分違いの恋を描きつつ、背景に社会主義を持って来て悲恋に拍車をかける。ブルジョアの彼女に惚れてるのに反ブルジョアになっていくのでどんどん心がすれ違っていく。マーティンが成功しても心が満たされないのは『華麗なるギャツビー』以降、延々と描かれて来たもの。現代に語り直す社会主義論みたいなのはそんなに面白く感じなかったし、肝心のマーティンが社会主義に傾倒していくあたりで10分強くらい寝たのでよく分かんない。21世紀の社会主義ならともかく20世紀の社会主義の話だったからな。マーティン役のルカ・マリネッリの影がある美男子っぷりは、60年代のアラン・ドロンみたいでカッコ良かった。あの青い空と青い海を背景にした時のイタリア映画の美男子って感じも。撮影もスーパー16で良い質感。監督がドキュメンタリー出身らしくアーカイブの使い方も特徴的。俳優と芝居の撮り方は大した事ないけど女優は綺麗だった。
TaiRa

TaiRa