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ベイビーティースのbibooのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビーティース(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ミラの病名とか、モーゼスの親からの勘当の理由やクライマックス以外の嘘が本当かわからない振る舞いとか、あまり説明はないためやや不完全燃焼感はある。全体的に具体的ではないものの、シーンが切り替わるたびに差し込まれる原色のテロップが、状況説明っぽくなっていて、抽象的な要素を上手く誤魔化していたと思う。

籠の中の鳥だった子が、何にも恐れないモーゼスに出会ってはっちゃけて生き尽くす話。親にはあんなに反抗的なのに、強引な学校の同級生にはじっと耐えるミラが印象的で、自分を曝け出せる場所が少なかったミラを表してるシーンの一つであり胸が一番痛くなるシーンだった。だからこそ距離の詰め方とか大胆なモーゼズが新鮮であり憧れになったんだと思う。ミラ以外のみんなはすごく自由に見えて自由に浮気もしてめんどくさくなったら適当にあしらえるし、真っ直ぐに一人だけを好きだったのはミラだけだった。

ティザーのポップな水色ウィッグのイメージとは違い、思いの外悲しくてびっくりした。実際の患者にはありえないほどタフなんだろうとも思うが、そこはフィクションあるある。ドキュメンタリックな手持ちのカメラワークなのに、時々ミラがカメラを意識した目線になったり、クラブのシーンがものすごく綺麗だったり、登場人物の気持ちを最大限に考察させたい時は顔をドアップにして映したり、独特なバランスの表現になんだか妙に引き込まれた。
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