せ

異端の鳥のせのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
4.0
3時間弱の見る地獄。
鳥の声が忙しなくする、景色だけは綺麗な、人の作り出した地獄。
行く先々、本当に何も良い事が起こらないどころか、事態はどんどん悪化していく、ほんの一瞬好転しかけたかなーと思っても上げて落とす為のものでしかない、死なねば終わる事のない地獄。

この映画を見ると、追い詰められると人々は皆病んでおかしくなっていくのだという事がよく分かる。
正にペンキで色を塗られただけの鳥のように、主人公が必要もなく周りから阻害される様には嫌悪感しか抱けなかった。
いや、彼等にとっては必要だったのかもしれない。
暴力に晒され、セックスしか娯楽がない人々にとって自らが行使する暴力もまた、大切な娯楽だったのだから。
この色の違う鳥に対する加虐性の行き着く先こそ、WW2の戦争でありホロコーストだった。
むしろそういう順番だったと考える方が正しそうだ。

スペイン風邪が流行った後、大恐慌が起き、そしてそこまでで溜まりに溜まっていた世界中の鬱憤が爆発したかのように一気にWW2に突入した。
人間には、この映画のような状況に追い込まれないために今出来る事をしていけるポジティブな力もあるはずだと信じたい。
せ