モカ

異端の鳥のモカのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
4.0
脳裏に焼き付く不条理の連続。どれも人間の醜い本質が露骨に表現されていて強烈ですが、個人的に言わせてもらうと、数ある不快な場面の中でもフェレットのくだりが最強のトラウマシーン。
人間の醜悪な部分を突き付ける描写は好みだけど、動物虐待だけは見るに耐えません。好きなタイプの作品だが、かなりメンタルに響く。そう何度も繰り返し観たくはないな。

この作品は言語もそうですが、具体的な地域もわざと曖昧にしてあるのでしょうか。
ナチ党の制服に身を包んだ連中が闊歩する二次大戦を象徴する時代背景でありながら、人々の生活は二次大戦時代とは思えない数世紀前を連想させる暮らし振りであったり、どこか一貫性の無いちぐはぐな世界観と、言語や景観などの様々なちぐはぐさから生じる一貫した不特定性が印象的でした。
ユダヤ人差別を風刺した大胆不敵な内容とは裏腹に、細部まで考慮された繊細な作りが素晴らしい。
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